一つ前に戻る
時は 現在２０００年代
・・・場所は日本の青く広がる静かな世界・・・
だが、今その世界は 猛き轟音と裂光に 破られていた。
『デッ！ ガオン 捕獲っ 捕獲っ！！』
主より与えられたことばを 呪文のごとく唱え、異形の人形
その尾より 打ち出されるは 弾丸の雨。
命令を違えてるわけではない。
対象を少しでも 弱らせ より容易に命令を完結させる手段として。
「ガオオオォォォォォーーーーッ」
だが この攻撃は効果がなかった。
鋼鉄の獅子は 全身に弾丸を受けながら
ソレを ものともせずに 向かっていく。
そして 振り下ろされる 鋼鉄の爪
その一振りで 異形の人形は たちまち物言わぬガレキになっていく。
・・・・・・・・・・・・・・・・
一方 その頃
・・・別の空では 轟音と共に 鋼鉄の鳥達が駆けぬけていた。
『報告します 隊長。現在 未確認機０１ 住宅地より 平野開拓地へ移動
引き続き ０２から０５・・・ い、いえ０６と 交戦中っ』
「おぅ、 それで街の被害状況は？」
『草原市立学園 校庭および周囲居住区の一部破損。他 目立った被害は報告されてません。』
「なら 未確認機の方は 警戒態勢を維持。 お前等は そのまま周囲の住民の退避に専念しとけ。」
『了解っ』
部下から入った受話器をおろすと 男は苦虫を噛み潰した表情を、ほんの少しだけ崩す。
「・・・(ふぅっ） アイツの学校は無事か。 たく 防衛庁め、易々と敵の進入を許しやがって
これで もしものことがあったらーーー」
『ほっほっ そんな鼻息荒げんでも ええじゃろ 鉄さん。 わし等 特機隊は このために居るんじゃし。』
不機嫌な独り言にはいる 無線機からのツッコミ。 男は 再び受話器を手にとる
「作戦中は 隊長と呼べといっとるだろ。それより ヤツラの正体は わかったのか ミミズク。」
『ほっ、コノ程度の機体 わしの情報網にかかれば ばっちりじゃて。』
受話器の向こうに居たのは ミミズクと呼ばれた男
研究所のような部屋の その目の前の巨大モニターは
今の現場の映像が 先ほどまでの映像に切り替わる。
『白く飛んどるヤツは 呼称名『フインビー』ワイト型の下位モデルじゃ。
武器は下半身部にある ２５口径バルカンと飛行能力
まぁ 実際たいした火力ではないし装甲も薄い。 たいしたＤＧ（ディグ）ではないの。』
『というか、今 最後の一機も倒されておるな。 こりゃデータは不要じゃったか？』
モニターは 再び切り替わり 現在の戦いの後を見せている。
先ほどのまでのドンパチも収まり 今立っているのは 赤きライオンだけである。
「いや 助かる。では、もう一体のほうは？」
『ほむ あっちのほうじゃがーーー・・・』
『・・・呼称ネーム、既存タイプ ともに該当無し。 さっぱり わからぬわ。ほっほっ』
ガクッ 期待した特機隊 日本支部隊長の肩が 大きく崩れる。
「おいぃぃいーーぃっ！？ てめぇー ばっちりと 言ったろがっ！？」
『じゃから 鼻息荒げるなて。 わしのデータに無いということは 今まで存在してなかったということ。
出来立てホヤホヤの新型ＤＧ いや試作機の可能性が高いの。』
「・・・『ＤＧ』以外の可能性は？」
『ほっほっ 他国の軍事データならば 試作どころか設計段階でワシには筒抜けじゃて。
大体 あんなマシンを作れるのは ヤツラしか居るまい。』
「むぅ・・・」
確かに 彼の言うとおりである。 下位モデルとはいえ
あれだけの数のＤＧをたった一機で全滅。
しかも瞬殺させる兵器を作る科学力など
今の 自分達”人間”側に持ち合わせてはいない。
「つまり あれは同士討ち・・・ 仲間割れということか？」
『あるいは 何者かが ヤツラのＤＧを強奪したか、じゃな。なんなら その辺も調べてみるが？』
「・・・いや、いい。 直接 あちらさんに聞いた方が早そうだ。」
『ほっ！？ 鉄さん そりゃ さすがに危なくないか？』
「アノ ロボライオンは わざわざ住宅密集地を避けて 被害の少ないコノ場所を移した。
俺達人間のことを気遣うヤツなら コッチの話を聞く度量もあろう。
・・・少なくとも いきなり襲うようなことはしねぇさ。」
『なるほどのう・・・ じゃが、それはそれとして もうしばらく待ったほうがええ。』
「あん？そりゃ どういう意味ーーー」
その時 彼の元に 再び部下の通信が
『た、隊長っ！！ 未確認機０７出現っ！ 一直線にこちらに 向かってきますっ！』
「またか・・・ ちっ 一体 何体のフインビーが 残ってーー」
『い、いえ 違いますっ 今度のはーーー」
そう 新たに現れたモノ
業火を撒きながら 新たなソレは
その大きさ、色、姿 全てが 先ほどまでと違っていた
ただ 一つの共通点は
・・・異形の化け物 【DEMONS＝ＧIＡＮＴ】であるということ・・・
「なるほど・・・先ほどまでのは 単なる前哨戦・・・」
「ほむ、ヤツらも これからが本番のようじゃな。」
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