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i郁美ちゃんが気づいたのは メールチェックをしている時だそうです。
フォルダにあったのは だした覚えのないメールに 読んだ覚えのないメール・・・
・・・その 内容は・・・・
『千堂さん宛てに 公園で会いたいって かかれていて・・・
でも、私には ドコかわからなくてーー』
電話の向こうの 郁美ちゃんの声は とても小さく
そして それ以上に 怯えているようで・・・
『私の思い過ごしだって 思いたいんです。ただ 千堂先生に会いにいくだけだって
だけど 最近 お兄ちゃん とても思いつめた感じで、とても怖くて、だから・・・」』
・・・私が言えることばは ひとつだけです・・・・
「大丈夫。後は私に任せてくださいっ！」
「私と 立川さん」師走編 【後編】
「雄蔵さ〜〜んっ 千堂さ〜んっ！ 」
すでに電灯の明かりしか見えない公園で 月明かりを頼りに 必死に彼の姿を探します。
千堂さん家の近くといえば ここだけのはず。
でも 辺りは電灯の光も役に立たないほど暗いこんなに暗くては ほとんど見えなく
・・・！？
「居たっ！」
居ました 居りましたっ
月明かりに 浮かぶ二人のシルエットを発見っ
ひときわ大きなシルエットは 間違いなく雄蔵さん。
もう一つのシルエットは 千堂さんでしょう。
二つの影はなにか 熱心に話しこんでいます。
なんだ、どうやら 私たちの心配は杞憂だったようです。
ともかく 彼らの話が聞こえるところまで 近づいていき・・・
「えっ！？」
二人が動いたのは その時でした。
千堂さんの 腕が大きく振りあげられ そのまま 雄蔵さんの顔面に！
しかし彼の体は微動だにせず、
代わりに繰り出された一撃は 千堂さんの体を 大きく吹き飛ばしていきますっ！
「そんな まさかっ！や、やめてくださいっ！二人ともっ！」
ドガガ！
しかし 私の願いは叶わず 彼らの行動は終わりませんっ
雄蔵さんの拳が 彼の頭部へ
寸前、大きくのけぞってかわす 千堂さん。
だが 続いて繰り出すアッパーが腹部にっ！
ドガガガガガガっ！！
「だめです！ やめてください！雄蔵さん！ーーー」
体を大きく「く」の字に曲げ 宙に浮かぶ千堂さんの姿。
しかし 雄蔵さんの拳は止まらずに 彼の顔面へと・・
「ヤメテエエエェェェェーーーーッ！！」
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「風見 鈴香・・・なぜ貴様がココに？」
私の叫びは ギリギリ間に合いました。
ふりあげらえた彼の拳は そのまま静止し、
千堂さんの体は そのままスローモーションのように
地面に 落ちていきました。
「千堂さんっ！！」
私は 千堂さんの側に駆け寄り 安否を確認します。
・・・大丈夫 彼は気絶してるだけのようです。
「・・・どけ 鈴香。まだ用は終わっておらぬ。」
とりあえず 急いで彼の部屋にもどって 手当てを・・・
「どかぬかっ！鈴香っ！！」
「どきませんっ！」
・・・いや、ソノ前に 私には すべきことが あるようです。
「・・・私は 郁美ちゃんの御依頼で来ました。 アナタを見つけ、彼を助けるために。」
「郁美に？」
「雄蔵さん 今回はコレで お引き取り願います。事情はわかりませんが
このようなこと郁美ちゃんは望まれておりません。」
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「まだだ。 俺はコイツの腕を折っておらぬ」
「なっ！？」
そんな、あの雄蔵さんが 郁美ちゃんの言葉を退けてまで？
それより そんなことしたら彼は漫画をかけなくなってーーー
「・・・鬼と蔑もうと 妹に恨まれようと かまわぬ。・・・だが おれは
コイツをこのままのさばらせては おけぬっ」
「なぜですかっ！？ あなただって 千堂さんをーーー」
「何故だとっ？ あの11月を忘れたかっ！」
11月？ それって 雄蔵さんと 最後に会ったーーーー
「コミパですか？ 郁美ちゃんの初めて参加した・・・」
「そして 俺が 初めて絶望した即売会だ。」
絶望？ まさか郁美ちゃんのことで？
「そんな！ 彼女が倒れたのと これが どういう関係が？」
「曇ったか 風見鈴香！貴様が その原因に気づかぬというかっ！？」
原因・・って まさか
「・・・千堂、和樹さん・・・？」
「・・・これでも少しは信じていたのだ ソイツの力を。 マンガの力というヤツを
・・・・・だが それは間違いだったっ！」
そういうと 地面に伏したままの彼を一瞥します。
その目は 昔、初めて彼の同人誌を読んでいた時の
いえ それ以上の憎悪がこもってました。
「所詮 コイツの作品は戯言だ。希望という美辞麗句を周囲に振りまき、大衆の羨望を
欲しているにすぎん。たとえ どれ程の思いで、慕い、敬い 尽そうとも
コイツは己の才能への 当然の施しとしか考えておらぬ。
そうだ、コイツは 郁美の純真な思いを踏みにじったのだ！」
・・・そうか、雄蔵さんは あの時（１１月の）の 私と郁美ちゃんの話を・・・
「でも それは 彼も知らなかったから・・・」
「ふん 知ったところで コイツは変わらぬ。同じ過ちを繰り返すのみ。
だから 俺は止めるのだ。コイツのマンガを コイツのちからを。
これ以上 郁美に つらい思いを させないために！」
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雄蔵さん
言いたいことが イロイロあります。
千堂さんへの誤解。
作品のもつ力というもの。
郁美ちゃんの本当の思いを。
・・・そして なにより・・・・
「・・・雄蔵さん。わたしはアナタのことを 誤解していました。
少し無愛想だけど 妹のことを大切してる 不器用な兄と・・・・・・
・・・・違いました。 アナタは自分のことしか考えてないっ！！」
「！？ 貴様っ！ 俺を愚弄する気かっ！」
コレまでに見たこともない 彼の怒りの表情。
血管という血管が浮き出て。額にはスゴイ皺が刻まれてます
思わず 怯んでしまいそう・・・だけど怯めない いや怯んでられないっ！
「つらい思いをさせたくない？ それが郁美ちゃんのため？最初に いいましたよね？
私は 郁美ちゃんの依頼で来たとっ！」
「フン！ 郁美は マダわからぬのだ コイツが どういう男かを だからーーー」
「だから どうだって言うのですか。アナタには関係ありません。」
「郁美は 俺の妹だっ！」
「私は 彼女の代理人ですっ！！」
確かに郁美ちゃんは あの時 真実に悲しんでました
でも 彼女は絶望してなかった。
なにより 千堂さんのせいにはしていなかった！！
「もう一度いいます 雄蔵さん。 アナタは 自分のことしか考えていないっ。
ただ妹の悲しむ姿を見るのがツライというエゴのために
少し関わっただけの他人にヤツアタリしてるだけです！」
「風見・・・鈴香ぁぁぁ・・・っ」
私は言葉を続けます。
既に彼の血管は切れかけ
あまりの怒気に周りの雪も蒸発してみえます。
「だいたい もしアナタが彼の腕を折っていたら、彼女はこの先ずっと悲しでいるところでした。
自分のせいで 愛しい方の未来をつぶしてしまったと・・・・自分の兄のせいでっ！！！」
「・・・黙れっ」
「そんな簡単なことに気づかないくせに、妹のためにですって！？
あなたの言葉こそ戯言です！ あなたは兄失格だっ 立川雄蔵っ！！」
「黙れえええええええぇぇぇぇーーーっ！！」
ブオンッ！
・・・・・・・・・・・
拳がうなりをあげて私の頬をかすめます。
拳圧でかぶっていた帽子が吹き飛ぶのを感じました。
しかし それでも私は 視線をはずさずに 無言で 彼をにらみます
「・・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・」
・・・しばらく つづく静寂の時
スベテのモノが静止し、雪だけが 静かに舞い降りていきます。
「・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・」
・・・そして・・・
「・・・・・・・・・・」
・・・ザッ
やがて、彼は 私に背中を見せると、そのまま立ち去っていきました。
最後まで 無言のままに
振り返りもせず
積もりかけの雪を踏みしめ
頭に積もった雪を払うことなく
・・・・・・・・・・
そして、
私も静かに見送ります。
無言の彼の後姿を
初めて会った時から見ていた大きな背中を
雪降りしきる聖夜の夜に
・・・もう これからは見ることもない・・・
そんな予感を感じながら、
私は ただ、いつものように見送っていたのでした。
・・・・・・・・
【師走編（後編） 天使の居ない聖夜祭（クリスマス・イブ） 完 睦月編に続きます】
あとがき
雄蔵さんは なぜ クリスマスの夜 あのようなことをしたのか？
ゲームの最後になって 郁美ちゃんの病気を知った時
主人公は 自分のマンガの限界に気づき それが原因と思いました。
・・・ですが 本当にそうなのでしょうか？
というわけで ご愛読ありがとうございましたｍ（＿ ＿）ｍ
ゴンジーと申します。
今回は 郁美ちゃん編の山場にして 雄蔵さんの最大の見せ場となった１２月のイベントです。
え？あの時駆けつけたのは 郁美ちゃんではなかったのかですって？
ゲーム中では ダレとはっきり書かれていないので 全然問題なしですｗｗ
と では話の続きを・・・
まず 主人公の考えの通りなら
郁美ちゃんの病気は 自分の作品を読んでも治らない。だから雄蔵さんは
マンガをやめさせようとしたになります。 さすがにこれは ムチャクチャかと（・ｗ・；）
では もう少し考えてみて
例え、和樹のマンガを読んで元気になる希望を持ったとしても
実際に彼女の病気が治ることはない。どうせ助からない命・・・
だから、下手な 希望に身をこがし あとで巨大な絶望に悲しむより
最初から夢も希望もないままの方がいいと思った・・・・
・・・・・・これも ちょっとおかしいです。すくなくとも
妹を思う兄の心情ではないと思います（・。・；
と イロイロ考えてみた結果が 今回の話です。
そう 原因は病は病でも 恋の病。
どれだけ慕っても 報われぬ恋に悲しむ妹の姿を見るのがつらい・・・
だから兄は 相手を（彼女の前から）亡き者にしようとした。
これならば 腕をおってまで マンガをかけなくしようとした理由も一応付けられますよね。
絵が描けなくなれば 二人の接点が なくなるとおもったわけです。
もちろん 本作中で鈴香が言ってるとおり コレは「自分のエゴ」ですし 思慮不足です。
雄蔵さんは いわゆるシスコンの力が強いようなので、
妹と主人公を結ばせようという選択肢は（少なくとも この時には）却下されていたのです。
結果的に それは未遂に終わり、和樹は九死に一生をおえます・・・
・・・そういえば和樹はああいっているものの ひょっとしたら
雄蔵さんも 本気で腕まで折るつもりはなかったかもしれませんね？
（彼なら 本気で折るつもりに見せるハッタリも お手のものかも？）
まぁ、ここは 実際に対峙した主人公の言葉を信用することにしますがｗ
とにかく この二ヶ月後 心変わりをした雄蔵さんが 謝罪（？）に 訪れてます。
一体何があったのか？ その辺りの話は 次々回の【如月編】にてということで・・・（＾＾；）＞
というわけで 今回は ココまでということで。
いつもよりも 大分長いあとがきに なってしまったですが
もし 本作品をご購読いただき 少しでも楽しまれましたら 幸いですｍ（＿ ＿）ｍ
それでは