・・・そう その日は 特別な日
すべての人に与えられた。
その人だけの大切な日
「私」の 始まりの日・・・




こみっくパーティ 二次創作SS『私と 立川さん』

〜特別編〜




「まぁまぁ そうだったのですか。 それは おめでとうございます♪(パチパチ)」

私が ここにいた理由を話すと
彼女は いつもの笑顔で うれしそうに祝ってくださいました。

「ははは どうも。」

私は 照れくささで 頭をかいてしまいます。
もし いつもでしたら 帽子のひさしで顔を隠していたところですが
あいにくと 今日の私は いつもの仕事着ではありません。
付け加えるなら ココは会場でもありません。

ここは 紅茶がおいしいと 評判の駅前の喫茶店。

私は革ジャンにジーンズのラフなスタイル。
そして 彼女・・・牧村南さん は いつものスタッフ服でなく、薄紫色のセーター。

時間は ちょうど お昼前、 道ばたで 偶然に お会いした私達は
そのまま別れるのも忍びなく こうして一緒にランチと なったわけです。


「南さんこそ なにか御用があったのないですか?」
「ええ、私は 仕事に必要なものがありましたので そのついでに。」

ちなみに彼女のお仕事は コミックパーティ運営委員です。事務所もここから近くにあります。
なるほど 買い物ついでの昼休みというところですね。

「それにしても いい会社ですね。 わざわざ お休みをくださるなんて」
「会社がというか  自分で頼んだだけなのですけどね。」

じっさい 私達 宅配屋にとって 休日祝日は あまり関係ありません。
というか、逆に忙しくなるときもありまして
祝日を祝うということが ほとんど ありません。
ですから せめて この日だけは 祝っていたいと思うわけでして・・・

「・・・まぁ 私のささやかな ワガママというところです(^^;)」
「あらあら♪あ、 では 時間のほうは 大丈夫なのですか?」
「え??大丈夫とは・・・」
「いえ 先ほど ショッピングモールを歩いてましたら・・・」

「お待たせしました☆ 田舎雑炊の お客様は・・・」
「あ、それは 私です☆」

私達の会話は ウエイトレスさんの声でさえぎられました。
そして 私と 南さんも 目の前の料理に心をうばわれます。

「フフ♪ いい香り・・・」
「へぇ〜 珍しいですね 喫茶店に雑炊なんて」
「でも おいしいからOKです♪」 
「それも そうですね」

この喫茶店は 紅茶のほかにも 少しだけメニューが変わっていることでも有名です。
たとえば 私が注文したスパゲティも・・・と?

「・・・・・・・(じぃ〜)」
「・・・・・・・・・・・南さん?(汗)」
「・・・・・・・・(じぃ〜〜)」
「・・・あ、どうぞ 先に召し上がってください。」
「でも 悪いですわ 鈴香さんの料理もまだなのに・・・」
「いえ 気になさらないでください。せっかくの 雑炊がさめてしまいますから(^^;」

それに お預けのワンコのような南さんを見ているほうが 気になるので・・・
・・・と 思うのは 失礼なことでしょうか?(^^;;

「では すみません お言葉にあまえて・・・いっただっきま〜す♪」

そういうと 南さんは両手を軽くあわせ、 ハフハフと 食べはじめました。
それは もう見てるだけで おいしそうに・・・
そんな 南さんをみて とてもかわいらしい
・・・と 思うのも これも失礼なことでしょうか?(^^;;
それにしても そんなにおいしそうに食べているのを
見ていると、自分もだんだん たべたくなってきます。
・・・追加で 注文してみても・・・

「お待たせしました、スパゲッティーのお客様は・・・」
「あ、それは こっちです♪」

と、 よかった グッドタイミングです。
ウエイトレスさんは 私の目の前に スパゲティーを ゆっくりと・・・

ドン!

「では さっそく 私も・・・と、どうしましたか? 南さん。」
「鈴香さん、大盛りで頼まれたのですか?」
「いいえ?普通サイズです。」
「すごい・・・量ですね(・。・)」
「ええ♪ ここのスパゲッティは本場イタリアじこみだそうで、量も本場のままなのだそうです。」

実際 他のお店と比べたら 5〜6倍以上の量ですからね・・・
ボリューム満点なのが うれしいところです♪

「あの、こんなに食べて、 大丈夫なのですか?」
「はい たいした値段ではなりませんし 」
「いえ、そういう意味ではなくて・・・」
「あ、ウェイトレスさん。すみませんが 田舎雑炊もう一つ追加 お願いできますか?」
「・・・・・・・・・」

南さんの視線が 少し気になりますが さすがに 空腹には勝てません

「では いただきます♪」


・・・・・・・・
そして 数十分後

先ほど注文した 皿はすでにかたずけられ、今は 食後のティータイム
ちなみに 私はホットコーヒー ミルク入り 
南さんはロシアンティーを味わっていました

「おいしかったですね〜 南さん」
「そうですね〜 それにしても 鈴香さん 今日は たくさんたべられましたね」
「そうですか? まぁ 体力を使う仕事をしてますから。 少し食べただけだけ体がもたないんですよ」
「なるほど」
「そういえば、先ほどなにか おっしゃってませんでしたか?
「はぁ・・・なにをですか?」

いえ それを聞いているのですが・・・(^^;

「たしか 時間がどうとか・・・ショッピングモールがどうしたとか・・・」
「そうそう そうでした♪ 大丈夫なのですか?今日は 誰かと 待ち合わせでないのですか?」

ああ、そういうことでしたか

「ハハハ、そうだったらうれしいのですけどね。 今日は ケーキを買うついでに 
 ウインドウショッピングをしていただけですよ」

 自分で自分の祝い用のケーキを買うのも 少しさびしい気がしますが
ウチで 寝ているだけというよりは マシということで。

「そうだったのですか?いえ 実は先ほど ショッピングモールで彼の姿を
 お見かけしたもので てっきり 後で落ち合うのかと・・・」
「彼?、いったい どなたを見かけたのですか?」
「えっと 名前は存じませんが・・・ホラ 以前 お会いしたガクランさんですよ♪」
「!?」

・・・・おもわず 噴出しそうになっったコーヒーをかろうじて飲み込みます。
それにしても なぜ彼のことが?

「な、なに言ってるのですか!? 立か・・・ その人とは 関係ありませんよ?」
「あら? いつも二人で逢引されるじゃませんか♪ コミパ会場の待合室や 駐車場の側で・・・」
「・・・・・・・・・・・・」

そうでした。 ほんわかして 年中春をすごしているようなの雰囲気にみえて
さすが コミパ会場をまとめている 南さん。 
顔ににあわず するどい観察力をもってるのでした。いや本当に・・・

「鈴香さん? いま 人は見かけによらないとか 思いませんでしたか?」
「い、いえ そんなことは・・・(汗汗)」

・・・だけど これは 少しまずいかもしれません。 
確か南さんはあの千堂和樹さんとも 面識があったはずです。
もし彼女の口からこのことが漏れたら・・・

「(コホン)南さん」
「はい なんですか?」
「すみませんが 私と彼のことを 他の方々には・・・」
「はい わかってます 他言無用ですね♪ 安心してください 
 誰にも お二人のお邪魔はさせませんから♪(ニコ)」

 ・・・少し誤解があるようですが、ともかく 助かります。

「ありがとうございます」
「いえいえ、私も影ながら 応援しますね」
「あ、いえ それは・・・」
「ファイトですよ 鈴香さん☆」

・・・・なにをですか?南さん(^^;





「・・・よし これで買い物終了っと」

アノ後 南さんと 別れた私は ショッピンクモールで目的のケーキを購入。
あとは 家に帰れば ささやかながら家族での誕生日パーティです。

そう あとは 家に帰って・・・

「・・・あ、でも ケーキだけでは 物足りないかな」

ということで ついでに 果物やさんで フルーツ購入
これで あとは 家に帰って・・・

「・・・あ、そうそう ほしい本がありました」

本屋にいって バイク関連の雑誌を購入
あとは・・・

「・・・えっと 後は なにか必要なものは・・・」

・・・・・・・・・・不思議です。 
先ほどから 私の視線は絶えず誰かの姿を探しています。

『先ほど ショッピングモールで彼の姿を お見かけしたもので・・・』

特に 用はないはずですのに・・・

『ファイトですよ 鈴香さん☆』

・・・・・・・

「・・・うん、買い物はこれで終了っと」

そうです 今回は 用はありませんですね。
それに さっき南さんが言っていたのは 大分前
あれから お昼の時間を入れて 数時間。
いまさら ココにいる・・・・・・わけ・・・が・・・・・・


「・・・あっ、」
「・・・・・・ムッ?」

・・・・居られました。

「え、えっと・・・」
「・・・・・・・」
「ま、まいど☆ 奇遇ですね 立川さん」
「・・・・・・・・」
「あ、 私は 今日は買い物にきてまして・・・」
「・・・・・・」
「立川さんも 今日はお買い物ですか?
「・・・・・・」

・・・・・・・・・なぜか さっきから 無言でにらんでいます。
まあ 無口なのは いつものことなのですが・・・・・でも・・・

「・・・・・・あ、あの おじゃまでしたか?」
「・・・・風見・・鈴香か?」
「はっ? はい、 そうですが・・・」
「なんだ その格好は?いつもの服はどうした?」

・・・・・・・・・・

ハ、・・・ハハハ・・・なるほど(^^;)
どうやら 彼は私と認識できなかったようです・・・(汗)


「え、えとですね 今日は仕事がお休みしましたので。」
「休みだと 着ないのか?」
「当然ですよ 今日の私は 宅配人ではなく、パンピーの風見鈴香ですから」

・・・うう、勢いにまかせて 今変なことをしゃべってしまったような・・・

「そうか・・・・だが ちょうどいい」
「え?」
「届けものだ」

そういうと 彼は 小さな小箱と 大きめの紙袋を 私の手のひらにのせました
・・・・・・いや でも 確か 私 今日はさっき休みと・・・・・・(^^;
ま、仕方ないですね。 今回の仕事は サービスということで

「はい、かしこまりました。 送り先は 千堂さんでよろしいの ですね?」
「・・・違う」
「あれ? では 郁美ちゃんですか?」
「・・・・・・違う」
「?? では 誰にーーー」
「・・・・・・」

彼は少し顔をそむけ、無言で 私の顔を指差しました・・・って え??

「私・・・ですか?」
「・・・・うむ」

・・・・・・・・・・・・・・・・・・
と、いうことは・・・・

「・・・ご存知だったのですか? 今日のこと」
「郁美から聞いた」
「あっ・・・」

そういえば 彼女には 入院中に話したことがあるような・・・
でも てっきり 忘れられているとばかり・・・

「日頃の礼だ・・・と郁美が言っていた。うけとれ。」
「では そのためにコチラに?」
「・・・・ついでだ」
「あ、ありがとうございます♪ 郁美ちゃんにも よろしく言っておいてください♪」
「フン、直に言え。そのほうが アイツは喜ぶ」
「ハハ そうですね。 雄蔵さんも ありがとうございます♪」
「ムッ?」
「だって プレゼントが二つ ということは どちらかが・・・」
「・・・大きい包みが 郁美のだ」

・・・ということは 小さい箱の方が・・・

「・・・えへへ♪」
「妙な 笑いをするな」
「あ、すみません☆ 特別な日なので」
「・・・フンッ」




・・・そう その日は 特別な日
私だけの小さな記念日
だけど 他の人には いつもの日
忘れさられる 普通の日・・・

「あの 雄蔵さん できれば もう一つ 頂きたいのですが」
「なんだと?」
「プレゼントだけでなく お言葉もいただけませんか?」
「・・・・・・・」

だから 私はうれしく思う。
その日を知ってくださることが、
だから 私はうれしくなりたい
私のために 祝ってほしい・・・

「さぁ、早くおねがいしますよ 雄蔵さん☆」
「き、貴様 いつもと違っておらぬか?」
「今日は 特別な日ですから 。さぁ さぁ☆(ニコ)」
「・・・う、うむっ(コホン) ・・・風見鈴香よ・・・」

そして、 彼は言ってくれました。・・・夕焼けに顔を紅く染めながら・・・


「・・・貴殿にとっての生誕の日。この立川雄蔵 心より お祝い申し上げる。」

・・・・・・・・・・・・・・

【特別編:年に一度の小さな記念日 完】







あとがき

こんばんは もしくは こんにちは ゴンジーと申します。

さてさて10月9日 鈴香さん 誕生日記念として描きました今回の作品は
いかがでしたでしょうか?
自分的には 珍しく満足した作品に仕上がっていると思います。
(日にちは少しずれてしまいましたが)
本来ならばいつものように 「神無月編」と したいところだったのですが
10月には自分的にはずせない例のイベントがありましたから・・・(謎笑)
そんなわけで 今回は そのまま「特別編」としました。(・v・)

ところで 卯月編のあとがきをみますと すでにあれから 一年たっているのですね
もっとも 今回の話は 実はその時 すでに考えていました。
宅配の仕事につかれた 鈴香さんに いきなりの誕生日プレゼント
それも 南さんや和樹からではなく、 
絶対にしない感じのする雄蔵さんから・・・
その辺りで 二人の関係を 表してみたかったわけです。
まぁ そういう意味でも「特別編」なのかも・・・w

ちなみに 話には出てきませんでしたが プレゼントの中身も一応考えてます。
郁美ちゃんのプレゼントは バイク関係の「写真集」
(鈴香さんが 買ってきたのと同じというオチつき)
そして 雄蔵のプレゼントは これまた彼に似合わない ピンクの「口紅」です
彼も最初はスパナとか工具を買おうとしていたのですが
郁美ちゃんに言われて化粧品に変えた・・・というエピソードも考えておりました。
・・・話が長くなりそうでしたので 省略しましたが
ひょっとしたら 後の話で出てくるかもしれませんので お楽しみに(?)( ̄w ̄)

では 今回は長々と書いてしまいましたが この辺で・・・
もし読んでいただき 喜んでいただけましたら 幸いです。

それでは


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