こみっくパーティ 二次創作SS『私と 立川さん』
４月・・・それは新しい季節
肌を突き刺す北風から、うららかな春風にかわり
サクラは咲き乱れ、草木も虫も息吹き、
そして 人は新たな世界に飛び出し、未知の出会いに希望を焦がす季節・・・
・・・と そんな淡い期待するのは、しょせん 学生や新社会人まで（＾＾；）
既に勤務暦○年の私にとっては、春には特に感慨深いものもなく、
（それでも 路沿いのサクラ並木にほんの少し ときめきはしましたが）
ただ いつもの用にいつもの場所にいつもの荷物を運んでいるのでした。
私の仕事は荷物を運ぶことです。
あ、でも 私はトラックのアンちゃんとは 少し違います。
私の職業は 宅配業。
そして今運んでいるもの、それは同人誌です
同人誌・・・それは 普通のお店では手に入ることのない、
でも 皆が それぞれの思いを込めて 作られた大切な本。
そんな 思いの篭った大切な本を 「聖地」とも「戦地」とも呼ばれる特別な場所へ運ぶ事。
・・・それが 今日の私の仕事なのです。
「・・・ふぁ・・・」
おもわず 小さなアクビが口からもれてしまいました。
安全第一の仕事につき睡眠は充分とったはずなのですが・・・やはり 春のせいでしょうか？
気をとりなおし 目的地の方向を眺めてみる。
側に並ぶ建築物の隙間からあの特徴的な建築物の屋根が微かに見え始めました。
「もう少しですね」
そう自分に 言い聞かせ 軽くアクセルを踏み込みました。
・・・その時でした・・・
私の車の前方に人影が 横切ったのは・・・
いえ 人はちょうど路の真ん中で 立ち止まったまま 動かな・・・
！？？
キキキキーーーーーーッ！！！
咄嗟にアクセルからブレーキに踏み返えます。 だけど 車は急にとまりません
くっ！？ 間に合わな―――
ドンッ！
・・・・衝撃が 私の体を前につめらせる。
シートベルトが自分の体に食い込んでいく。
・・・なんてことをしてしまったのでしょう 私は、
激しき後悔の念を抱きながら 外の様子を確認するために
私は顔を上げました・・・
・・・でも・・・ その光景は私の想像とは 違っていたのです。
車の目の前には 男の方が立ってました。
ボロボロのガクランに身を包んだ、そう例えるなら一昔前の番長を
連想させてしまうような出で立ち。
そして 彼は直立姿勢の姿のまま 右手を前に突き出し
私の運転している車の前面に手を当てているではありませんか。
ひょっとして、車を止めたのでしょうか？ 彼の力で！？。
「・・・」
フロントガラスを通して 彼の目線と私の目線が重なりました。
そして 次の瞬間 私は車から降り、彼の側に走りよっていました。
「だ、だいじょうぶですか！？ お怪我はありませんでしたかっ！？」
「・・・」
彼は自分の右腕を眺め、少しその腕を 動かしてから、 そのまま私の顔を見下ろしてきます。
間近でみるとかなり彼は大きい方でした。 腕の太さも 私のふととも位はあるでしょうか？
このとき 自分は 一瞬 子供に戻ったような、気分になってしまいました。
「ふん・・・これしきのことで,壊れるような、やわな腕をもっておらぬわ」
「そうですか（ホッ）」
本当にたいした怪我もしておられないような その後様子を確認すると
私は 胸をなでおろしてました。
でも それにともない、 私の心の中には憤りの感情が生まれてきました。そう・・・
「それにしても なんで 貴方は飛び出してきたのですかっ！？」（ズイッ！）
「・・・むっ？」
「今回は 私がブレーキをかけたから良かったものの、一歩間違えれば怪我ではすまなかったのかもしれないのですよ！」
「・・・・・・」
「さあ 納得のいく説明をしていただきましょうかっ？」
「・・・・・・」
彼は 無言で私を強く睨みつづけます。でも 私は逃げません。
そして更に問い詰めようとした その時・・・
「ふにゃぁぁぁ〜〜」
「・・・えっ？」
そう そのとき いきなり場を和ませるような 甘え声が。
もちろん 私の声でも ましてや 彼の声でもありません。
でも その声は彼の足元から・・・
「にゃぁ〜〜〜♪」
「・・・子猫、ですか？」
今まで気付きませんしたが そこには よちよち歩きの子猫の姿がありました。
子猫は 男の足に擦り寄っています。
もし あのまま車を走らせていたら 私はこの子を・・・
「・・・あの、ひょっとして 貴方は この子を助ける為に？」
「・・・すまぬな 少年」
彼は 静かにしゃがんだかと思うと 足元の子猫を抱え上げ、
私に そう答えました。
「え？いや その私・・・」
「確かに貴様がのスピードを緩めねば 俺も無事ではすまなかったかもしれぬ・・・ゆるせ」
「そ、そんな 私のほうこそ・・・あの」
ズンズンズン・・・・
「あ、あの・・・ちょっと待ってくださ――」
彼は何も言わずに そのまま 歩いて行きました。
その手に子猫をかかえたまま、そして 一つの誤解を残したまま・・・
「私は・・・・・・女性なのですけど・・・（汗）」
でも 本当に 信じられないような出来事でした
その彼の出で立ちといい 行動といい、
まるで映画か漫画の登場人物に会ったかのような、
目の前で起こったことは 全てフィクションであったような・・・そんな不思議な気分で・・・
・・・ですから一月後 アノ会場で「彼」と再開するなんて、それこそ夢にも思わなかったのです・・・。
＝ 「卯月編：出会いは衝突に？」完 // 次回 「皐月編」 に続く＝
〜 あとがき 〜
ということで ついに書いてしまいました 立川雄蔵さんと風見鈴香さんのSSです。
雄蔵さんメインのSSは以前から一度書いてみたかったのですが、
実際にはコミレンのSSの方に 取り掛かってばかりで・・・（＾＾；）
しかし この度は 鈴香さんの誕生日
駄文ながら、このたび 意を決して 掲載することに致しました。
つたない文章で恐縮ですが 少しは 雄蔵さんや 鈴香さんらしさは
伝わっていると思うのですが・・・いかがでしょうか？（滝汗）
実は（といかなんというか）コノお話はまだまだ続いておりまして
次回は いよいよ本編と絡んだ話になる予定になる予定なのです。
（ご要望があればですですが（＾＾；；；）
では つたない文章で恐縮ですが もし楽しんでいただけましたら恐縮です。
それでは
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