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2月・・・　それは回顧の月
間近にせまる　旅の扉
その扉を開く時、
人は　一度振り返る。
過ぎし旅を　忘れぬように
新たな旅に　負けないように

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クシュンッ

夜の公園の静寂に　私のクシャミが響きます。
二ヶ月前と違い　雪は降り積もっていないものの
まだまだ　春は先のようです。

今、私は　あの公園で彼を待っていました。

ここから　少し離れた場所では
今　彼と千堂さんが
なぜか二人で杯を交わしています。

そんな　二人を　遠目で　眺めつつ
私は　彼を待っていました。
雄蔵さんの　戻ってくるのを・・・

・・・・・・・・・・・

「私と　立川さん」如月編　

「どうも☆　雄蔵さん。ちゃんと　謝罪は　できましたか？」
「・・・鈴香か。　貴様、なぜ　ココにおる？」

突然の　私の登場に　予想どおりの　リアクションを見せる。
まぁ　私服姿の私を　ひとめで見抜いただけでも
以前より　すすんでいるのかもですが

「ええと、郁美ちゃんから　ココの話を聞きまして、
　千堂先生に　もしものことが起こらないように監視をーーー」
「ぬぅ！？」
「ーーー冗談ですよ♪　今日はプライベートな用事で参りました。
「・・・フン・・・」

ちょっぴり　すねたように　私の横を早足で通りすぎていこうとする　彼
私は　慌てて　その横を歩きます。

「何故　ついてくる？」
「もちろん　私の用事を済ませるためです。・・・で　どうでしたか？許してもらえましたか？
「さてな・・・、おい、これを郁美に渡しておけ」
「え？　おおっと。」

・・・・・
無造作に投げ渡されたソレは　一冊のスケッチブックでした
中には　千堂さんに描かせたと思われるキャラ絵と　「Ｉ　ＬＯＶＥ　ＹＯＵ」の文字が。
これは　郁美ちゃん大喜びですね♪
・・・と　でも　あれ？

「雄蔵さん、郁美ちゃんのこと話されたのですか？」
「話すわけなかろうが。それだけは　口止めされておる。」

・・・・・・
ということは　千堂さんは何もしらずということは・・・
ハハ、今頃スゴイ誤解をされているかもですね。

「ハハハ、了解です　雄蔵さん。」
「しかし　まさか郁美が、アイツを異性として惚れてたとはな・・・
　だが、そう考えれば　納得できる。」

・・・・あれ？

「雄蔵さん　あの時　気づいていなかったのですか？」

そう　11月のコミパの時
その時に　彼は妹の心に気づいて
だから　この前の　クリスマスの時には　あんなに彼を攻めたのかと・・・
ということは　雄蔵さん
アナタは　一体どのように思われてたのですか？

・・・と　尋ねてみたところ　

『優れたマンガ家として　才能に惚れてこんでおると』

との返答が。さすが、彼らしいと　驚くべきか　
・・・それとも呆れるべきでしょうか？

・・・・・・・

私達は　しばらく無言のまま　歩いてました。

昼間は騒がしい公園も　今は嘘の方に静寂で
私達の足音だけが　小気味よいリズムを産み出してます
まるで　私達以外の世界が止まっているように・・・
それは　少しだけ　ロマンチックで・・・

「・・・で、キサマの用事とは　なんだ？鈴香」

・・・と　いけない　いけない　すっかり忘れてました。
時計をみると　あと少しで　１２時になるところでした
もう少しで　遅れるところでしたね。

「雄蔵さん」
「？」
「はい　風見鈴香さんからの　お届けモノです☆」

いぶかしげな　顔をする　彼の前に回り
　私は小さな袋を差し出しました、それは、この日のために用意していたもの

「・・・なんだ　それは？」
「チョコレートですよ。今日は２月１４日ですから。」
「チョコ、だと！？」
「いや〜　日付が変わる前で　よかったです♪あ　ゆっくり　味わって食べてくださいね。
　結構たかかったんですから・・・と　雄蔵さん？」

・・・雄蔵さんは　受け取りません。
表情を硬くこわばらせたまま　私の手のひらのモノを眺めていました。

「・・・わからぬ・・・」
「・・・ひょっとして甘いものが苦手とか？」
「キライではない。・・・だが　なぜ俺にチョコを渡す。」

・・・あ〜、
まさか　と　思ってましたが　雄蔵さん　ひょっとして　ご存じない？

「あの　今日はバレンタインデーという日でして。　女性が男性にーーー」　
「知っておる。」

あれっ？　でしたら何故？

「雄蔵さん〜　以前から　言ってますように　質問はする時は--」
「貴様は俺にかまう。なぜ　俺を見捨てぬのだ？」
「・・・えっ？」

ナ、何いってるのですか？　だって　それは・・・

「あなたは、その。一番のお得意様、ですし・・・」
「それは　郁美だ。俺は　妹の代理人に過ぎぬ。
　そう、俺は　キサマのためになにもしておらぬ。　そればかりか迷惑すらかけてきた・・・」
「・・・・えっと・・・」
「そのチョコが　例え義理というものであっても　俺には受け取る資格などもっておらぬ。」

・・・　まったく　このお方は・・・

「資格なら　ありますよっ。」
「何だ？」
「それは、私が・・・アナタを大好きだからですっ。」

・・・・・

・・・そうです・・・
理由は　最初から決まってました。
多分　　初めて彼を見たときから
初めは　小さな好奇心。　

彼の素性を知りたいと
彼らを見つめてみていたいと

時を断つごとに　少しずつ　少しずつ大きくなって
それは　別の感情に変わっていた。

だから　彼のために　働いていた
だから　彼を　みつめていた。

「・・・俺は男だ」
「存じております」
「貴様は女だ」　
「あ、認めてもらえたのですね。」
「茶化すなっ。　と、ともかく、今自身が吐いた言葉には、そういう意味も含まれるというのだっ。
　それでも貴様は・・・」
「かまいませんよ、きっと。」
「・・・・・・」

・・・・確かに　この思いが　「恋愛」と　呼ばれるものかは　
私にも　はっきり　わかりません。
それは　恋と呼ぶには　あいまいで、愛を叫ぶには　おこがましく

だけど

私が雄蔵さんに告げたことば。
そのコトバに嘘偽りない　確かな真実だから

だから　私は・・・　

「・・・フン、本当に変わったやつだな　貴様は」
「そうかも　しれませんね。」
「・・・・ふん、ならば　そのチョコ　ありがたく頂こう。」

彼は　少しだけ　表情をやわらげると
私の手のひらの　ものを　手を伸ばしました。

「・・・かたじけない。鈴香」
「いえいえ♪　、で、それでですね　雄蔵さん」
「なんだ？」
「雄蔵さんは・・・その、私のことを　どう、思ってい・ます・・・か？」

・・・・・・・・・・

「・・・フンッ・・・用は済んだな。さらばだ。」
「ーーーって　私の答えはっ？」
「そんな　不埒な台詞、俺は口にできんっ。」
「す、不埒って　なんですかっ　不埒ってっ？　わ、私だって　これでも恥ずかしかったんですから
　雄蔵さんも　ゴマかさーーーて、なに　逃げてるですかっ！待ってくださいって雄蔵さーーんっ！？」

・・・・

そう　この日は　思い出の日
私たちにとって　特別な夜。
小さな一歩かもしれないけれど
私に　とっては　忘れられない歩み。

・・・・・・・そして・・・・・・・

彼らが　日本を離れることを知ったのは、それから数日経ってからのことでした。

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【如月編：　私と雄蔵さん　(完）　次回　弥生編に続きます　　】

あとがき

ご愛読ありがとうございましたｍ（＿　＿）ｍ　ゴンジーと申します。
というわけで、とうとうやってしまいました（　○▽○）/
鈴香さんと　雄蔵さん　ラブラブです（　￣ｗ￣）

実は　最初はもっとラブラブファイヤーな展開も考えてみたのですけどね
やはり　二人なら　今は　ここまでが精一杯かなとｗ；
ラブラブファイヤーは　もう一つの作品（ｗ）で　やってみることにしますですｗｗ

みなさんの反応が　心配です（ｗ；；；
反応がないのは　もっと心配ですが　Ｏｒｚ

というわけで　いよいよ　この物語も　次回で最終回です。
モシ最後まで　ご購読いただき、たのしんでいただけましたら
幸いですｍ（＿　＿）ｍ

それでは

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