「おつかれさまでした。南さん」
「あら、鈴香さん。 これから勤務ですか？ ご苦労様です」
「ははは、夜勤はだれかがやらなきゃいけないことですからね☆」
「南さん。 おつかれさまでした」
「あら、瑞希さんもおつかれさま☆」
ここ、コミレンジャー秘密基地では、勤務の交代がいつもどおりおこなわれていた。
「じゃあ、鈴香さん。がんばってください」
「瑞希さん。おつかれさま」
瑞希が鈴香に声をかけると、南さんがにっこり微笑んできた。
「じゃあ、瑞希さん。 あがりましょうか」
「はい」
「「お先に失礼しまーす」」
「おつかれさまでしたー」
コツ、コツ、コツ・・・
南さんと瑞希がならんで歩いてると、向こうからも足音がきこえてくる。
「おや、牧やんに瑞希っちゃん。 おつかれさん」
「由宇ちゃん。 おつかれさま」
「おつかれさま。 猪名川さん」
コミパイエローこと猪名川由宇だ。
「いやー、こんなとこで会うなんて奇遇やなぁ♪」
「奇遇・・って。 仕事あがりのシャワー室の前で会うのは
別に奇遇でもなんでも・・」
瑞希がごくまっとうなことを言う。
「あははははは♪ 固いこといいっこなしや☆
そんなことよか、はよ汗流そ☆」
屈託のない笑顔で由宇がきりかえす。
すると今度は南さんが天使の微笑みを浮かべる。
「はいはい、じゃあ由宇ちゃんの言うとおりシャワーをあびましょうか」
「「はーい」」
シャーーーーーーーーーーーーーーーぱしゃぱしゃぱしゃ・・・・
「気持ちいい〜。１日の疲れがとれるな〜☆
これでフロあがりにビールをきゅっと・・」
「こ・ら☆ 由宇ちゃん。 未成年はお酒飲んじゃいけません」
「牧やんのけち〜〜」
「あはははははは・・」
シャワーを浴びてるはずなのに、なぜか汗ジトになる瑞希。
「しっかし、牧やんも瑞希っちゃんも・・・・」
「なに？猪名川さん？」
「ええなぁ☆ ぼいんぼいんで♪ うらやましいわ。どないしたらこうなるねん☆」
「え・・きゃぁ！！」
いきなり後ろから胸をもまれて、瑞希は悲鳴をあげた。
「あ〜ええな〜おっきくて、気持ちええわ〜〜〜☆」（もみもみ）
「ちょっとちょっと、猪名川さん・・南さ〜ん、とめてくださ〜い」（涙）
瑞希は涙目で南さんに助けを求める。
「しょうがないわねぇ由宇ちゃんたら♪
でしたら、お姉さんが大きくしてあげます☆」
「え・・・・？」
そういうと、南さんはさらに後ろから由宇の胸に手をのばす！
「きゃはははははははははは☆牧やん、くすぐったい×２」
由宇のけたたましい笑い声がシャワー室に響きわたる。
「み・・みなみさん？」
「やったな牧やん♪ 反撃や☆ ・・おお、やっこい♪」
「んっ・・あっっ☆ もう、由宇ちゃんじょうずねぇ」
「い・・いながわさん？」
おもわず、思いきりひく瑞希。
もう、これ以上ついていけない。
否、これ以上ここにいるのは危険と判断した瑞希が
そ〜っと逃げようとすると背後から声がかかった。
「ああ、そういえば瑞希さん」（もみもみ）
「ははははいっっ」（声うらがえってます）
「瑞希さん明日オフですよね」（まだもみもみ）
「はいぃぃ」（１歩ひいてます）
「実は私もオフなんですよ☆
よろしければ一緒に買い物にでもいきませんか？
おいしい紅茶のお店をみつけたんですよ」（まだまだもみもみ）
「あ・・あ・・ごめんなさい。あたし予定が」（３歩ひいてます）
すると、それまで南さんにひっついてた由宇が、ずずぃっと瑞希につめよる。
「はっはーーーん、で・え・と☆やな？」
「え・・あのその」
「牧やんふられたなぁ☆ 瑞希っちゃん明日デートやて」
「あらあらそれは残念ですねぇ。邪魔をするとお馬さんにけられてしまいますねぇ」
「瑞希っちゃん。牧やんよか和樹のほうが好きなんやて」
「あらあら私は瑞希さんの方が好きですのに」
「ううう〜・・ごめんなさぁい☆このうめあわせはしますから、
かんべんしてくださぁい☆」
瑞希は降参とばかりに両手で拝むような仕草をする。
「あらあら☆」
「あはははは☆」
水音と笑い声がシャワー室にこだましていたころ・・・
いずこと知れぬ暗闇の中で２人の男が向かい合っていた。
「よくきてくれた、マイフレンド」
「こんな所に呼び出して・・なんの用だ。カリスマン」
「・・つれないぞ、マイエターナルフレンド。２人きりの時は名前でよんでくれ」
「・・・で？なんの用だ大志」
「では言おう。我々がコミレンジャー達に対して形勢不利なのは知っているな」
「ああ・・」
「われらとあいつらの差・・。これは何だと思う？マイフレンド」
「・・・・装備と科学力だな。俺達は個人の資質に頼るとこが大きい。
だがやつらはその優れた装備で我々を、所どころ凌駕している」
「さすがは我が心友！完璧な答えだ！そこでだ・・・」
そう言って大志が耳打ちをすると、和樹は驚きの表情をうかべ大志を見やった。
「おどろいたな・・まさかそんな」
「ふっふっふ。眼からうろこが２，３枚落ちたであろう」
「たしかにな・・だがやってみる価値はある」
「ふっふっふ。期待しているぞマイフレンド」
「あまり重圧をかけるなよ☆」
２人は顔を見合わせにやりと笑うと、再び闇の中へ消えていった。
翌日。
よく晴れた駅前での風景。
「おそいぞ！まちくたびれたんだから！」
「悪い×２、瑞希」
「もぉ☆あいかわらず時間にルーズなんだから」
「ごめん×２。ほら、ソフトクリームおごってやるからさ」
「あのねぇ・・いつもいつも食べ物でごまかそうと・・って」
「ほら、いこうぜ」
「ちょっと！ひっぱらないでよ・・・」
瑞希達は１人者にケンカをうっていた。
そのころコミレンジャー基地では・・・
「お☆移動したで、瑞希っちゃん和樹とあえたみたいやな」
「いったいナニみてんのよ、パンダぁ」
「いや、なに瑞希っちゃんが今どこにおるかなー、て」
説明しよう！
コミレンジャー達がもっている腕時計型通信機は発信機にもなっていて、
非常事態にそなえ、隊員の所在が把握できるようになっているのだ！
もっとも、めったにつかわないのだが・・・
「こ・ら！猪名川隊員！みだりに他人のプライバシーをのぞくんじゃありません」
「やーい☆マキちゃんにおこられたぁ」
「ははは、カンニン×２・・・・と牧やんは・・・」
「ききなさい・・人の話を・・・」
「はははははは・・・・と、おや？おかしーなぁ」
「どーしたのよパンダ」
「牧やんの反応が・・あらへん」
「なんですって！？」
司令の叫び声に基地内が緊張感が走り、一時騒然となる。
「南おねーさん。どうかしたんですかぁ！？」
千紗が泣きそうな声で叫ぶ。
「猪名川隊員！交信を試みてみて！！」
ガガッピーッガガガガガッ・・
「あかん・・妨害電波や」
由宇の顔から血の気が一気に失せる。
「高瀬隊員との交信はできる！？」
「やってみますです・・・・・にゃぁぁぁ☆つながりました」
『もし、こちら瑞希です。なにかあったんですか？』
緊迫した司令部とは、うらはらに、
いきなりの交信でデートの邪魔をされた瑞希の声は、不安と苛立ちが感じられた。
「えと・・えと・・」
「かわって千紗ちゃん」
「はい司令」
「なんでもないわ高瀬隊員。ただの交信テスト」
『あ、そーなんですか』
「ごめんなさいね、せっかくのオフに・・それじゃ」
『あ、はい。終わります』
プツッ・・・・・・・
静寂が基地内を包む。約１名をのぞき、皆、蒼ざめていた。
「どーゆーこと？」
「どーもこーもあらへん
・・瑞希っちゃんとできて牧やんと交信できへんっちゅーことは・・」
「だーからぁ！？どーゆーことぉ？」
「だーっ！この大バカ詠美！妨害電波を受けとんのは
この基地やなくて牧やんやっちゅーとんのや！！」
「ふみゅ？え？え？え？じゃあ・・・？」
ようやく詠美にも事態が把握できたらしく、とたんに泣きそうな顔になる。
「にゃああ☆南おねーさんがあぶないですぅ」
もう千紗は半泣き状態だ。
その時パニックを抑えるかのごとく、
すっと、真紀子司令が右手を振って指示をだした。
「コミレンジャーは現在の第３種警戒体制から第２種出動体制に移行！
千紗ちゃんは妨害電波が出ている範囲を特定！急ぐわよ！」
「ラジャー！！」
そのころ・・・・
「あらあら、この救急箱とってもかわいらしいわ」
「あら、このブローチ買っちゃおうかしら」
そんなことはつゆ知らず、久しぶりの休日をショッピングにあてて、
リフレッシュしている南さんに背後から忍び寄るあやしい人影があった。
「あ、あのひとなんだな」
「い・・いくでござるよ」
そんな不審なナゾの２人組に「まったく」気づかずショーケースに見入る南さん。
そして、そんな南さんを前後からはさむようにして声をかける２人組！
「ちょ、ちょっといいかな・・」
「牧村南女史でござるな？」
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