同人戦隊コミレンジャー 第29話 その3


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・・・この時 高瀬瑞希は 激しく後悔していた・・・
ありえない話では無かった。 南さんの例もあった。
しかし コミパレッドとなってからこれまで 、プライベート時に狙われることなどタダの一度として起こらなかった。
そう これは油断による わたしのミス。そして その結果ーー

瑞希をかばい 致命的な 重症を居った千堂和樹。
高瀬瑞希はすんでのところで 彼を支えるが 
背中から流れる血は 未だ止まらない。

瑞希「和樹っ−−−ちょっと しっかりしてよ 和樹てばっ!?」

傷の原因は 背中には刺さっている数枚のカード。

カードといっても クレジットカード等とは少し違う。以前子供達の間で流行したカードなんとか、と呼ばれてたものだ。
もちろん 本物は縁がナイフのように鋭くないし、それ以前に人を傷つける道具ではない。
これはおそらく コミックパワーによるグッズの武器化。そして こんなことが出来るのは・・・

???「ちっ!もう一歩でウマクいくところでござったのに」
???「で、でも情報どおり 他のコミレンジャーは居ないんだな。 まだ失敗でないんだな」
???「ガェーーーッ」

そして夕闇から湧き出るように 三つの影が姿をあらわれる。

一つは 一昔前のアニメに出てくる敵ロボットのような怪人だった。
ドラム缶や鉄くずから 作り出しかかのような 頑丈そうなボディー。
貧相に見える下半身が 巨大ドラム缶のような上半身と 太くごつい豪腕を強調させる。

更に その上半身にあるハッチが開いており、中からスリットのようなものが顔を覗かしていた。
十中八九 先ほどの攻撃は コイツによるものであろう。

そして 残り二人の姿・・・コレは改めて確認するまでもないだろう。 
ゴッザールにナンダーナ。人々を苦しめる敵 そして 彼女の倒すべき相手。

瑞希「−−−ハラジロシスターズッ!よくも 和樹をーーーっ!」
オタク横「な、なんだな? ボク達は 悪くないんだな。ソイツが勝手にしゃしゃり出たのがいけないんだなっ」
オタク縦「さよう。 拙者達の綿密かつ完璧なレッド暗殺計画の邪魔した 当然の報いでござる。
       さぁ コア・オ・ターク ザイコーヒン! 今度こそ小娘の息の根を止めるでござるよ!」
怪人「ガエィーーーッ!」

怪人の胸のハッチのスリットが引っ込み 変わりに巨大な銃身が現れる
標準の先に居るのは もちろん高瀬瑞希!

瑞希「くっ チェンj・・・(ピクッ!?)」

とっさに 彼女変身ブレスに手を伸ばし・・・・その手が止まる。
無用な混乱をさけるため 自分が コミレンジャーであることは 
関係者以外には(一応)秘密ということになっていたのだ。

オタク横「や、やっぱり レッドも恋人の前では変身できないんだな♪」
瑞希  「ちょ、ちょっと!? べ、別にコイツ恋人だからというわけじゃっーーーそ、それに まだ恋人というわけでも・・・」 
オタク縦「撃てーーーで ゴザルッ!」
瑞希  「なっ!?」

ドキューンッ!!

またしても 油断してしまった瑞希に対して 容赦のない怪人の攻撃!
銃身から発射されたのは大砲の弾ではなく、ボーリング玉のごとき巨大なビー玉。
だが どちらにしても まともに受けては ただではすまない。

瑞希「くっ!(ガッ!?)」

彼女は とっさに和樹を抱きかかえ 身構えるーーー
今度こそ 和樹を守るために たとえ自分の命に代えても・・・

・・・しかし 次の瞬間。瑞希は目をみはる。

ガッシャァーンッ!

瑞希「・・・え?」
オタク縦「な?」
オタク横「だな?」

・・・怪人の攻撃はあたらなかった・・・
ガラス玉の砲弾は どこからか飛んできた”ある物”によって粉砕されてしまったのだ。

彼女は目を凝らし 自分達を救ったモノを確認する。
それは 一見どこにでもあるような使い古された”Gペン”
だが 先ほどのカード同様 強力なコミックパワーの混められたものに違いない。
その証拠に Gペンはまるで 引き寄せられるかのように 主人の手元に戻っていった。

・・・そう、千堂和樹の右手に・・・・


同人戦隊コミレンジャー 第29話 その3



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瑞希「・・・和樹?・・・アンタ 今なにを・・・?」
和樹「・・・あ〜・・悪い。話す前に目の前にコレ退かしてくれないかな?(プニッ♪)いや 結構嬉しい感触ではあるが」
瑞希「!?!?・・・ バッ、バッ、バカァーーーッ!!?」
和樹「ブオッ!?」

ゴロゴロ・・・ズシーン!

瑞希は 彼がまだ自分の胸に埋められた状態だったことに気づき 思わず弾き飛ばしてしまう
飛ばされた和樹は そのまま派手に転がり もんぞりうって倒れる。

瑞希「和樹!? ご、ゴメンつい、反射的に。せ、背中の怪我・・・は??」

彼が大怪我をしていたことを思いだし 彼女は 慌ててかけより・・・再度 目をみはる。 
アレだけ酷かった和樹の背中の傷は 綺麗に塞がっている・・・それどころか傷跡すら見当たらないではないか!?

和樹「・・・どうした? 珍しい技でもないだろ。さっきはコミックパワーによる グッズの武器化。
   そしてコレは治癒力急激活性させた瞬間再生。あの程度の切り傷 完治させることなど 俺にはワケないんだよ。
   ・・・そう お前に受けたアノ刀傷のようにな。(フッ)・・・」
瑞希「・・・えっ・・・?」

額から鼻にかけて指でなぞり 軽い微笑みを見せる 千堂和樹
しかし その笑顔も瑞希には見えない。今、彼女は完全に混乱していた。

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和樹は コミックパワーの使い手であったこと。
長年連れ添ってきた瑞希にとっても 衝撃の事実だった。
が、同人作家でもある彼ならば 確かに ありえる話だ。 納得もできる。
・・・今 彼女の脳裏にひっかかっているのは ソコではない。

瑞希(『私から受けた刀傷』・・・って どういうこと?)

確かに、拳や釘バットなど ツッコミという暴力行為を繰り返した瑞希であったが 
いくらなんでも 和樹に刃物で切りかかった覚えなどない。刀傷などありえるはずがない。

そう、和樹に刃物など振るうわけがないのだ。わたしは剣を振るう相手はーーー・・・・

!!!????

瑞希「そんなーーー・・・アンタ まさか!?」
和樹「・・・まったく 予定どおりにはいかないものだな。・・・俺としては もっと穏やかに事を運びたかったんだが。」
瑞希「ーーー・・・なによ? なにをいってるのよ?和樹・・・」
和樹「・・・だが いいか。 これはこれで。目的が達成されたことに変わりはない。(スッ・・・)」
瑞希「ま、待って まだ話はーー!」

ペシッ

瑞希「!?」
和樹「・・・・・・・じゃあな、瑞希・・・」
瑞希「か・・・ずき?」

・・・千堂和樹は 彼女の手を振り払い そして 怪人達の元へを歩み始める・・・

オタク横「ふ、ふん ビ、ビー玉を砕いたぐらいで 調子に乗ってるんでないんダナ。」
オタク縦「ええい かまわぬ ザイコーヒン! まずは その人間を先に やっつけるゴザルヨ!」
怪人「・・・・・・・ガ・・・・」
オタク横「・・・・ダナ? どうして攻撃しないだな!?」
オタク縦「何をしておる! 拙者の言うことがきけぬというでござるか!」
怪人「ガ、ガガガ・・・」

・・・コア・オ・タークにとって 幹部は絶対的存在である。
それが どんなに頼りない幹部であれ その命令であれば、自爆ですら躊躇しない・・・はず。 
だが まだ怪人は動かない。それどころか 後ずさりすらしてるではないか!?

そうこうしているうちに 和樹はとうとう怪人の目の前に。

怪人「ガ、ガガガッ!ガガッ!?」
和樹「・・・気づいたようだな 怪人。 己がいかに 大それたことをしでかしたか」
怪人「ガッ!ガガガガッ! ガァ!?」
和樹「弁明なら・・・無用だ。(シュッ!)」
怪人「ガ・・・!?」

刹那。
和樹の右手に握られたペンは天と地にかけて 一本の線を引く。
同時にコア・オ・タークの体にも黒い直線が。
直線は そのまま隙間と変わり 物体は綺麗に左右に開かれーーー

ズシャッ!!

ーー怪人は、断末魔すら挙げる間もなく そのまま消えていった・・・

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おたく縦「バ、バカな!? 一撃でゴザルと!?」」
おたく横「お、お前っ 本当に なにヤツなんだな!?」
和樹「ちっ、これでも まだ わからぬとは怪人以下の脳味噌どもか お前らは。」

 シュンッ

続いて 和樹は手にしていたGペンを振り回す。
ペン先からは まるで 噴水のごとく インクが吹きあふれ 闇色のカーテンとなり彼の体を包む。
そして 黒き闇から 現れた その姿はーー

オタク縦横「「な!?なななな貴方様はーーーー!?」」

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・・・・・・その頃・・・・・・・・・

由宇「な、なんやて!?そんな馬鹿な話あるかいっ!」
   「・・・・・・・・・・・」
あさひ「あ、あわわわわわ・・・・ーーーー」
詠美「そんな 嘘 嘘でしょ 南さん!?編集長!?」


南  「・・・・残念ですが・・・」
澤田「事実よ。タングス天王の正体は千堂和樹。私達の敵です。」

・・・・あれから コミックZ基地に 集合命令を受けた4人は 
澤田真紀子、牧村南 両人から 信じられない事実を突きつけられていた。

由宇「そ、そないな ア、アホな・・・いやでも そういわれてみれば・・・いやせやけど!」
あさひ「そ、そそそいえば さっき パワーの反応 も、もしかしかして それも−−−」
詠美「アンタは黙ってなさいっ!!」
あさひ「はぅっ!?」
  「詠美さん・・・あなたも・・・です。」
詠美「!?な、なんですって 彩っ?」
由宇
「二人とも やめんかっ! 仲間割れの場合やないやろっ!!」

かつてないほど 険悪な雰囲気の中 騒然とする ブリーフィングルーム
無理もない。 千堂和樹という存在が大切な存在なのは 瑞希だけではない。 
他の 彼女達にとっても かけがえのない友であり 同志であり 仲間であり 憧れだったのだ。

あさひ「そ、そうだ! み、瑞希さん!!!」
詠美「ふみゅ!? そうよ アイツ 今 和樹と一緒じゃないの!?」
由宇
「そや めちゃ危険やないか!? 何で 彼女も呼び戻さんかったんやっ!!」
  「それは大丈夫だと思います。今回の和樹さんは ”和樹さん”として瑞希さんに会うのですから。」
澤田「そうねーーーおそらく彼は 『千堂和樹』としての最後のけじめをつけるつもりでしょう。
    チャンスなら 今までいくらでもあったわけだし、そんな騙まし討ちのような
    マネをするような青年でもないでしょ?」

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由宇「ーー妙やな 牧やんに真紀子はん。敵や敵やと言うわりに えらく落ちついとるやないか?」
真紀子 南「「・・・・・・・」」
「・・・ひょっとして・・・ お二人は 以前から和樹さんのことを・・・・・・」


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・・・・・・・・・・・・そして 舞台は 戻る・・・・・・・・・・・・・・・

オタク縦「か、かんべんして 欲しいでゴザルーーッ」
オタク横「ま、まさか タングス様だなんて 知らなかったんダナァ〜」

突如現れた 自分達の大幹部に
こすり付けるほど大地に平伏する 幹部二人組。
そして それを 憎憎しげに見おろす 大幹部・・・運命のタングス天王

和樹  「・・・貴様達、いったい誰の差し金で ココに居る?」
オタク横「カ、カリスマン様が おっしゃったんだな。 こ、今度の日曜にレッドがノコノコとココに現れるだろうって。」
オタク縦「で、であるからして 拙者達は綿密かつ完璧な作戦で ヤツを亡き者にしようと思ったでござるよ。
      ホントウにタングス様のコトは 知らなかったでござるよ〜っ」
和樹「・・・総統が?」

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和樹「・・・なるほど・・・結局 全てはアイツの手のひらの上だった、ってことか。(フッ)」
オタク横「そ、ソレより タ、タングス様こそ レッドと何で一緒だったんなんだな?」
和樹「・・・なに コレから最後の後片付けを するつもりだったのだが−−ー」

彼は 向こうで座り込んだままの彼女を一瞥する。
流石にショックが隠しきれないようだ しばらくは そのまま動きそうにない・・・

和樹「・・・まあいい 興が削がれた。戻るぞ ゴッザール ナンダーナ」
オタク縦「ゴザッ? タングス様 レッドをこのままにしておくつもりでゴザルか」
オタク横「な、なんだか知らないけど こいつ すっかりフ腑抜けてるんだな。絶好のチャンスなんだなっ」
和樹「おい・・・こんな姑息な手段でなければ、俺がコイツを倒せぬとでもいいたいのか?(ギロッ)」

頭が外れるほどに 激しく横に首振る二人に舌をならした後、
タングスは 最後にもう一度 彼女に顔を向ける。

和樹「・・・そういうわけだ 命拾いしたなコミパレッド。次に会う時まで その命、精々大切にしておくがいい。」
瑞希「和、樹ーーなんで・・・?」
和樹「・・・誰と勘違いしている?コミレンジャーのリーダー。 俺の名は『運命のタングス天王』。
    ハラジロシスターズのbQにして 総統カリスマンの忠実なる僕。』・・・」

ジャキッ!
・・・もはや彼女に あの時のような言葉は向けれらない
・・・今向けられたのは 鋼の刀剣と 強烈な敵意・・・

和樹「ーーそして、覚えておけ 我等の前に立ちはだかる敵は万物 全て切り伏せる・・・そう 何者であってもだ!」
瑞希「そんな、待って 和樹 わたしーーー!!」

ブオンッ!

最後の言葉は 剣の生み出す闇の風がかき消す。
嵐が去った時 残されたのは ・・・高瀬瑞希 ただ一人・・・

・・・こうして、千堂和樹は 彼女の前から姿を消した・・・



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〜コミレンジャー 29話 その3完  次回 エピローグにつづく? 〜





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