同人戦隊コミレンジャー 第２９話 その１
翌日 コミックＺ ブリーフィングルーム
？？「ーーーさん？」
瑞希「・・・・・・・」
？？「あの もしもしー 聞こえますかっ！？」
瑞希「！？ あ、す、すみません 司令ーーー？」
あさひ「ほぇ え？ わ、わたし 司令じゃなく えと」
瑞希「桜井さん？ ーー・・・あれ？ー・・・会議は？」
由宇「んなの とっくに終わってとるわ。」
ペシッ！
呆けたレッドの頭上を 掠めたのものはコミパイエローこと 猪名川由宇のハリセン。
「司令に気づかれとったら コンナもんじゃすまんで。」の言葉が続く。
ようやく現状を理解した瑞希は 慌てて見回す。
先ほどまで 座っていた澤田司令と牧村教授の姿はなく、部屋に居るのは コミレンジャーの5人だけ。
それほど 時間が経っていないところを見ると
今回は 簡単な現状報告のみで終わったようではあるが・・・
詠美「だらしないわね 何 ぼーっとしてんのよ 桜井あさひ じゃあるまいし」
あさひ 「はぅっ！？」
由宇「ホンマや。 人の話を聞かんと 詠美になってまうで。」
詠美「ふみゅっ！？」
彩 「瑞希さん・・・悩みごと・・・ですか？」
いつもの ドタバタが始まるより早く 話題は瑞希に戻された。
物静かな長谷部彩にまで心配されるところを見ると、
かなり深刻な顔をしていたのだろう。
皆に 悟られまいと瑞希は笑顔で切りかえす。
瑞希「あ、うん 大丈夫よ 長谷部さん 。みんなも たいしたコトじゃないから 心配しないで。」
詠美「ふ〜ん・・・で ナニがあったの？」
瑞希「いや 本当に話すようなことじゃないし・・・」
由宇「なに水臭いこといっとんねん ウチらと瑞希っちゃんの仲やないか。 よければ話を聞いてあげるで」
瑞希「だ、だから 本当にーーー・・・・・・」
もっとも 状況は彼女の思惑通りには行かなかったようだ。
退路は既に 4人に囲れて 彼女の姿は尋問状態。
”よければ” どころか これは話を聞かせない限り 包囲網は崩れそうにない・・・
瑞希「ほんと 大したことじゃないのよ。昨日 カ・・・友達に、大事な話があるって言われて。それが気になって」
彩「・・・・・・・大事な話・・・。」
詠美「た、確かに 気になりますです 。・・・どんな話でしょね？」
由宇「そんなん ゼニの話に決まっとるやろ。借金で首が回らんようになったソイツは
善良そうな瑞希っちゃんに目をつけてーーー」
詠美「ふみゅ！？ それって オレオレサギっ！？」
あさひ「ほぇっ！？ そ、それは大変ですっ け、警察にーーーっ」
瑞希「だ、大丈夫 桜井さん 問題ないから 落ち着いて。お金の貸し借りなら 日を改めなくても
その場で頼めばいいと 思うし。あと大庭さん ソレ微妙に間違ってる。」
由宇「そやな。金なら その場で土下座して頼みこむわ。人通りの多いところでやると効果的やで。」
瑞希「猪名川さん・・・ やったことあるの？」
由宇「乙女の秘密や。せやけど 金やないとしたら なんやろな あと残っとるんはーーー」
本人を置いてきぼりに 勝手にもりあがる三人に しっかりツッコミを入れる高瀬瑞希
静観していれば そのまま話が脱線し 話題から逃れられる可能性もあったのだが
シッカリ修正してしまうのが 彼女の性である。
詠美「フフ それはズバリ ゲスト原稿依頼ねっ まだ日程が決まってなかったのよっ」
瑞希「ーーー私、マンガ描けないけど？」
詠美「ふみゅ？」
由宇「ほな コスプレやっ コスプレ売り子♪」
瑞希「それも 日を改めなくても・・・というか なんでコスなのよ？もっと 即売会から 離れた方向から考えてみてもーー」
彩 「（ポンッ）・・・幸運の壷・・・・」
瑞希「いや できればソッチ方面も・・・（汗）」
あさひ「え、えっと・・・うんと ・・・あ、あの ヒ、ヒントないですか？・・・」
瑞希「あさひちゃん 別にクイズじゃないし」
彩 「・・・・瑞希さん 質問です。」
瑞希「だから これはクイズじゃーーー 」
彩 「その友達・・・和樹さん、ですか？」
・・・・・・・・・・・
瑞希「・・・えっと・・・・・・・うん、そうだけど・・・」
皆の突き刺さるような視線を その身にうけ、瑞希は軽く頷く
こんな状況になるから あえて黙っていたのだが・・・
・・・・・
由宇「ーーーな〜んや アホらし ほんなら内容ほぼ決定やん。」
詠美「なになに？ アンタ わかったの？ パンダのくせに。」
由宇「わからんのか？ 男と女が日を改めて大事な話なんて これはもうーー」
あさひ「！？？そそれ ももももしかしてプププププププロロロ・・・」
詠美「プロデビュー？」
ペシッ！
由宇「ちゃうやろ 告白やっ 愛の告白っ」
詠美「ふ、ふふふふみゅっ！？ ポポポポチが コ、コイツに？？ そ、そんなこと 」
あさひ「はわわわーーー！？」
瑞希「ち、ちょっと待ってよ！ みんな！ マダそうと決まったわけじゃないしっーー」
彩「・・・（こくっ） 逆の可能性も・・・あります・・・」
・・・・・・・・・・・・・・・・
由宇「・・・彩っち 今の一言かなりキツイで。」
彩 「そう、ですか？」
瑞希「ああ。もう！ ストップ！ ストーーーップ！！！！ この話 ここまでっ！
敵が襲ってこない時こそ 訓練第一 日々鍛錬！ みんな 自主トレよっ！」
大げさな身震いで 彼女達の包囲網をかきわけ 部屋を出ていく高瀬瑞希。
そう 皆に言われるまでもなく、彼女自身も そんな考えが頭をよぎっていた。
だからこそ 今が挙動不審であったわけであり・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
由宇「・・・で どないしよか？」
あさひ「え、えと や、やっぱり トレーニングは大切ですから・・・」
由宇「いや そっちやのうて」
あさひ「ほぇ？」
詠美「・・・フン、そんなの決まってるじゃないのっ ねぇ？彩」
彩 （こくこくっ）
由宇「うし 決まりやな♪」
あさひ「ほ、ほえ？？？」
・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・
・・・・そして、運命の 日曜日。
予報では 洪水確率７０％を超えていた東京上空も
嘘の様に 晴れ渡り。絶好のデート日和
場所は 地元市民の待合スポットのひとつである 代々森駅前
今日も何人かが 時計を気にしながら 相手の登場を待っていた。
・・・そう その中には ・・・
瑞希「あ・・・・和樹。 なに アンタもう来てたんだ。」
和樹「いや 俺も今来たところだけど・・・珍しいな 俺のほうが早いなんて。」
瑞希「それ私のセリフ。まさか アンタが３０分前からきてるなんて、 槍でも振るんじゃない。」
和樹「確かに 振るはずの雨が振らなかったな。 でもお前こそ
知っててこの時間ってことは お前どんだけ待つつもりだったんだよ」
瑞希「うっ・・・」
和樹「それに その手に持ってるのは虫取り網だよな・・・なんで そんなもん持ってるんだ？」
瑞希「え？あ、これは 、うん玄関で 蜂がブンブンとね 。ハハハ♪」
・・・・・・
和樹に言われて その手に持っているブツを消していないことに 気づいた瑞希。
『ミズキャーステッキ 網モード』を慌てて背中に隠す。
ちなみに彼女の言葉に嘘はない。 もっとも ハチはハチでも・・・
・・・・・・
千紗『にゃあ〜っ こちら本部です 黄色のお姉さん応答願います。』
由宇「ほいほい こちらイエロー どや？状況は」
千紗『ごめんなさいです。 ハッチャン１号機 ２号 ３号も4号も みんな捕まっちゃいましたです。
コチラからは 赤いお姉さんは見えませんです。』
由宇「大丈夫や ターゲットはコチラで確認でけた。千紗ちぃは そのままレッドの位置確認を頼む。」
千紗『にゃ〜 了解です。』
・・・・・・・・・・・・・・
彩 「・・・気づかれましたか・・・流石です。瑞希さん」
由宇「せやけど ウチラ自身まで張ってるとは思わんかったようやな
朝の6時から 駅前で 待ってる甲斐があったわ。」
彩 （こくこく）
詠美「まったく こんな 時間まで待たせるなんて ポチのくせにっ」
いや 待たせてないし。というか呼んでいないし
・・・と二人が聞いていたら 答えたところだろうが
不幸にも 彼等は彼女達の存在に気が付いていない。
あさひ「で、でも いいのでしょうか？ こんなことして？？」
彩「・・・・」
由宇「あったりまえや これは 仲間の一大事なんやで もし 和樹とナニかしたらどないすんねん」
あさひ「そ、それは・・・」
詠美「ナニかって・・・ふみゅーーー！？ ポチのくせにーーー」
ガシッ！
詠美「ぶみゅ！？（ドサッ）
由宇「どあほっ 気づかれるやないかっ まずは 二人の様子を遠くから暖かく盗撮。茶化すのはそれからーー」
彩「・・・あの・・・お二人が改札をくぐりましたが？」
由宇「ぶっ！？ あかん 見失ったら ミッション失敗や 行くでっ！みんな」
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