同人戦隊 コミレンジャー 第１６話「さよなら コミパピンク！？ 覚悟必死のミラクルボイス！」
プシュゥ〜・・・（自動ドアの開く音）
千紗「にゃ あさひお姉さん♪ こんにちはで こんばんはです♪」
彩 「・・・・（ペコリ）」
コミパピンクこと 桜井あさひの入室により
コミックＺ ブリーフィングルームが 一気に騒がしくなる。
高層ビルから見える窓の景色は すでに夕日で赤く染まっていた。
由宇「おぉっ なんや 久しぶりな感じやなぁ〜♪ もうかりまっか♪」
詠美「あぁ〜 今頃ちょっと ノコノコ何しにきたのよ アンタッ！？」
あさひ「はぁぅ！？」
ベシィッ！
相変わらずの詠美の頭に容赦ない由宇のハリセンツッコミが入る。
由宇「アホッ。この前 司令がいっとやろ。 あさピーは仕事がたてこんどるさかい こっちに来れなくなるって」
詠美「ふみゅ？ そうだったけ？」
彩 「・・・・調子は いかがですか？」
あさひ「は、はい お、おかげさまです はい。えと み、皆さんは・・・」
彩 「（こくっ）・・・大丈夫、です・・・。」
由宇「あいつらも最近おとなしいようやしな 何かあったら連絡するさかい。心配せんでも仕事に専念したらええ」
あいつらというのは 当然 敵の組織ハラジロシスターズのこと
その魔の手から 地球を守るのが 彼女達コミレンジャーの役目だが。
彼らも 毎回 ひっきりなしに 襲ってきているわけではない。
・・・で、そんな時 彼女達がなにをしてるのかというと・・・
詠美「まったくいい気なもんね こっちは 敵が来ない日も トレーニングに借り出されて もぉ ヘトヘトよぉ〜。
こっちも毎日学校があって 忙しいのにっ！」
由宇「アンタの場合 補習があるもんな。体だけやなく 脳もトレーニングも必要やし ちょうどええんちゃうか？」
詠美「ふみゅーーー なにさ あんたなんか ニートのくせにっ！」
由宇「ニィ・・・！？ あんな非生産どもと一緒にすなっ！ ウチは任務のためにココにおるんやっ」
あさひ「あ、あぅ ふ、二人とも喧嘩は ・・・あれ？」
ここで ようやく あさひは いつもの抑え役が居ないことに気がついた。
あさひ「・・・あ、あの、 そいえば瑞希さんは？」
彩 「！？」
瑞希の名を聞いた途端、長谷部彩の表情が 大きく沈む。
あさひ「ほ、ほぇ！？あ、あの私なにか・・・？」
彩「・・・瑞希さんは・・・・・・昨晩、体調をくずされて・・・ そのまま・・・・・・・。」
あさひ「ほ、ほぇぇぇぇええええっ！・・・ま、まままままさか」
由宇「彩ッち。必要以上に深刻にすなっ！！」
ペシッ！
めずらしく 彩に決まった由宇のハリセンツッコミ
詠美に比べて弱めなのが 少し躊躇があるためか。
由宇「心配いらんで あさピー。瑞希っちゃんは 風邪気味やから 大事をとって休んだだけや。
たいした症状やないから 明日は来るやろ。」
あさひ「よ、よかった・・・」
千紗「にゃ〜 最近基地内で風邪がはやってるですよぉ〜 司令のお姉さんはマスクしてますし
教授のお姉さんは医務室。 整備のお姉さんも お休みしちゃってます。」
由宇「ま、その点でも敵が来ないのも幸運やったな。 案外 アチラさんも風邪が原因かもしれへんで。」
あさひ「・・・た 大変な所だったんですね」
詠美「そうよ〜 私達は大変で 疲れてヘトヘトなんだからっ。だから アンタッ いつもの歌で私達を回復させなさい」
ペシッ！
由宇「文脈読まんかっ 大庭か詠美。そういう意味やないやろ。」
あさひ「あ、い、いえ大丈夫です 由宇さん。わ、わたし訓練参加できなかったし・・・ 」
彼女は 静かに 歌を口ずさむ。
彼女のミラクルボイスのひとつ 『ヒーリングボイス』は
聴く者の傷を癒し 体力を回復させていく・・・はずだった
あさひ「！？ケホッ ケホッ！！」
だが 彼女の歌は 途中で中断する。 苦しそうに咳き込む桜井あさひ。
詠美「な なによ なによ なによ？ どうしたの！？」
あさひ「あ･･だ、大丈夫です ちょっと喉が・・・コホッ！ す、すみません・・・ケホンッ」
言葉と裏腹に 再び咳き込む桜井あさひ。その様子ではかなりくるしそうだ
由宇「念のために 救護室に行った方がええな。喉はアンタにとって 大切な商売道具やろ？」
あさひ「ででも（ゴホッ） 皆さんを回復・・・」
由宇「そんなん 気にせんでええっ。 ウチらは いいから はよ行かんかいっ！」
あさひ「あぅっ！？
・・・・・・・・・・・・
千紗「にゃ〜・・・お姉さん 大丈夫でしょうか・」
彩 「・・・心配です」
詠美「・・・ふ、ふんっ、情け無いわね〜 あの娘も。調子が悪いんだったら
ココに来ないで とっとと休めばよかったのよ。」
彩「・・・・・・・・・・・・・」
由宇「・・・・・・・・・・・」
千紗「・・・・・・・・」
詠美「な、なによ？私のせいじゃないわよっ！？」
彩 「・・・・・・・あさひさん。・・・よほど 喉を酷使されてたのですね・・・。」
由宇「そやな、今撮っとるアニメも準主役や言うてたし。」
千紗「きっと お姉さん 今日も仕事の合間をぬって来たんですね。お姉さん達に会いたかったんですよ〜。」
詠美「・・・ふみゅぅ・・・」
・・・一人、苦い顔をしてかと 思うと 大庭詠美は ゆっくり立ち上がる。
由宇「ん？どこいくんや 詠美」
千紗「にゃぁ お姉さん心配で迎えにいくですか」
詠美「か、勘違いしないでよ？ 私が アンタが心配してるから 一緒についていってあげるだけなのっ ほらサッサと行くわよっ」
千紗「にゃ、にゃあぁ〜っ！？」
千紗ちゃんを 引き連れて部屋を抜け出る。詠美
そんな 彼女を 暖かい目で見守りながら 由宇は つぶやいた。
由宇「・・・ツンデレやな・・・」
彩 (こくこくっ）
・・・・・・そして コミックＺ 医務室前・・・・・・・・・・
千紗「お姉さん ここが医務室ですよ〜♪」
詠美「ハイハイ 言われなくて わかってるわ まったくナンデ私がーーー・・・ふみゅ？」
突然 立ち止まる大庭詠美。
あと一歩進めば センサーが反応し 自動ドアが開くのだが、彼女はそのまま 動かない。
千紗「お姉さん〜 どうしたのですか〜 早く あさひお姉さんに会いましょ・・・にゃ！？」
詠美「しぃっ ちょっと 黙りなさいっ！」
先に入ろうとした千紗の口を両手でおさえると、
詠美は そのまま ドアセンサーから逃れるように壁に張り付き 聞き耳を立てる。
・・・彼女の耳に入ったのは、あさひと もう一人 二人の会話・・・。
もちろん 普通の会話ならさして問題は無い。
千紗の言うとおり そのまま医務室に入り そのまま雑談に混ざればいい。
だが 詠美の耳には とてもそんな会話には、他人が立ち入るべき内容には 思えなかったのだ。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
あさひ「ーーー嘘ですっ！ 今までにだって これぐらいのことはっ！ 今だってっ 喉だって 元通りに」
？？？「いいえ 治っていないわ。今は薬で一時的に抑えただけ。危険な状態なのは 変わっていないの。」
片方の声は 予想通り 桜井あさひだった。
その声は 先ほどブリーフィングルームの時と違い かなり悲痛である。
あさひ「だ、だけど それでも ワタシには歌がなければーーー」
南 「わかってるわ。 貴女の歌は 力のこもった特別なもの。私たちもソノ歌に何度も助けられてきました。
でも、だからこそ その反動が、喉にかかるダメージも大きかったのよ。
度重なる力の行使による疲労が蓄積して 貴女の喉は ボロボロの状態に・・・」
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もう一人の声の正体は 牧村南教授だった。
だが その声は 重く冷たく いつもの温和な彼女とは別人のようにすら聞こえる。
あさひ「・・・・そんな・・・ーーー」
南 「もちろん 日常生活だけなら たいして問題ないし、仕事だって 無理をしなければ大丈夫。
・・・だけど 歌だけは駄目っ 絶対にっ。 もしも、次にその力を使ってしまったら・・・」
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あさひ「・・・つかったら・・・？」
南 「その時は・・・・・・・貴女は永遠に声を失うことになります。」
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〜コミレンジャー 第１６話 その１ 完 次回 その２につづく 〜