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月日は百代の過客にして 行きかふ年も又旅人なり
命とは すなわち旅なり。
人生 すなわち道なり
人、あまた居れど 同じ道 一つとなく
先、無限なれど 我が歩く道 ただ一つのみ
されど 交わらぬ道一つとしてなし、幾重に交わり 連なり 別離す
ゆえに
道の交わりし導（しるべ）。 人 それを縁（えにし）と言ふ
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私と 立川さん 【エピローグ】
・・・そして 時は流れ ・・・
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春も半ばを過ぎ 弱い光と 温い風を頬にあび
続く緩やかな道のりを 俺は １人歩いていた。
数日前は 満開であったであろうサクラの並木
既に 花びらは大地に撒かれ 木々は既に葉桜、
既に そこに春の面影はない
あと 数日早く 帰国すれば、否 もう少し長く咲いておれば・・・
いや それは無粋な考えか。
花は桜木 人は武士 。
桜は散るからこそ美しいのだ。
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ドコまでも続く桜の並木 先に見えるは 以前と変わらぬ会場。
ひどく懐かしく見えるのは、郷愁という名の感情か
・・・笑止。
アノ場所にも 中で開催されている祭りにも 俺には興味はない
妹の頼みで訪れただけで アソコには なにもない。
・・・もしあるとするならば
それは アイツとの思い出ぐらいだ
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桜の花の咲き乱れる頃
俺は ここでアイツを知った。
車を止めた俺に向かって アイツは飛び降りてきた
アイツは 俺を心配し、そして 怒った。
まっすぐな 強い瞳で 俺を見据えて。
次に会ったのは 会場内であった。
初めて、いや 二度目だが面識を持たぬ 俺の頼みを
アイツは 快く引き受けた。
・・・変わった少年だと思った。いや 実は女性であったが・・・
その後 アイツには色々と世話になった。
日々の宅配は無論のこと
夏には郁美の心の病を 救い
冬には俺の暴挙を 制した。
そして今の郁美が いるのも・・・、
アイツ自身は あの男とマンガの力だとぬかしおったが、
アイツのおかげだと 俺は思っている。
そして いつからであろうか
俺は いつしかアイツのことを・・・
キキキーーー！！
突然の悲鳴が 俺を現実世界にもどす
悲鳴は 前方の 車が急停車したものだった
いつの間にか 追い抜かれていたのであろうか
緑色のボディーカラーに 企業のロゴマークをつけた 宅配車
この車には見覚えがある。
バンッ！
思い出すより前に 勢いよく扉が開き 中から人が飛び出す。
出てきたのは やはり・・・
「・・・雄蔵さん！？雄蔵さん なんですか！？！？」
アイツ・・・風見鈴香であった。
「うむ、久しいな」
「え？・・・いえ その・・・だって あれ？？」
どうしたわけか その表情は かなり慌てて見えるが・・・
・・・なるほど・・・
「・・・この服か？ ふむ やはり 似合わぬか」
言い忘れていたが今の俺は 既に 大学を つまり応援団を卒業した。
よって 長年着込んだガクランではなく、今は背広を着込んでいる。
妹からは 『なんかお兄ちゃんでないみたい☆』だと 笑われたものだが・・・。
「あ、 いえ その服も 結構似合ってと思ーーーって そうじゃなくて！！
なんで アナタがココにいるのですか！？」
・・・ナニをいっておる コイツは？
「コミパだからに決まっておろうが。 貴様は違うのか」
「え、いえ でも だって・・・」
・・・本当にどうしたのだ コイツは
その後 ナニをおもったのか
彼女は空と俺を 交互に見比べながら、
そして ようやく口を開いた
「・・・だって あれから ２週間も経ってないんですよっ？」
・・・・・・・
コイツに つられて 空を見上げてみる
一筋の飛行機雲の流れる ただの空
別段 変わったところもない。
・・・『あれから』というのは 最後に会った日で あろうが・・・
「うむ・・・それがどうした？」
「どうした？、てーーーーだから あの時言ってたでないですかっ
雄蔵さん、アノ後 郁美ちゃんと一緒に日本を離れるってっ」
「うむ」
「そのまま向こうで暮らすかもしれないって！」
「うむ」
「アレが 最後の依頼になるってっ！！！」
「うむ 国際便はないからな。貴様のところは」
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「・・・あのぅ・・・雄蔵さん？・・・ もしかしてなのですが・・・
あなたは、これからも 日本に戻って こられるのですか？
同人誌を買うために、 月一 ペースで。」
「否 月に2,3度だ。 即売会は他にもあるゆえ。
・・・さすがに交通費は馬鹿にならぬが、これも郁美のため やむをえん。」
「・・・・・・・」
「それから 郁美のことだが、退院したら ココに戻ってくると言っておった。
・・・ふっ どうやら アイツは両親より 日本の空気が恋しいらしい。」
「・・・・ハ、ハハハハ・・・」
「まだ 正式な日にちはわからぬが 早ければ夏には 退院すーーー」
「・・・そうでしたね。・・・・アナタは そういう方でしたよ・・・・」
「？？どうした 鈴・・・」
！？
「・・・・ゆうぅぞおぉさぁあぁぁぁんっ！？？」
ゴゴゴゴ・・・・ッ！！
！？な、なんだと！？
気づいた時には 既に彼女は変貌していた。
その瞳に コレまでにないほどの （あのクリスマスの時以上の）強い殺意が宿り。
彼女の周りの空間が 熱く硬く凝縮されていくように見える。
その 尋常ならざる気迫に 俺は思わず後ずさる・・・
・・・後ずさるっ！？
まさか、この俺が恐れているというか！？
この 小娘に！？
「い いや ま、まて！ どうしたナニあった！？」
「・・・帰ってくるのなら・・・ そぉいってくださいよぉぉぉ〜っ
・・・いつも 言ってますよねぇぇ・・・？ 話す時には きっちりぃぃぃっ
はっきりぃぃぃっ 最後まで 話すよおぉぉぉ〜〜にぃぃ！！」
「ーーいやまて！話した！ 話したぞ！？ 『今生の別れで なかろう』とっ！
貴様が 勝手に勘違いしただけでーー」
「なぁんですってええぇぇぇーーーっ！？（ゴゴゴゴッ！）」
くっ！？
・・・なぜだっ？ 俺はコイツに勝てる気がしないっ！？
こんなことは今まで 一度も・・・
いや あるぞっ、郁美だ！
コイツからは 郁美と同じ あらがえない力を感じる。
これは 一体ーーー！？
「私が悪いだって言うのですか！？・・・それじゃあ・・・それじゃあーーー！」
彼女の体が かすかに涼む
ーーーヤラレルッ！？
だ、だが俺も 立川雄蔵と恐れられた男。ここで引くわけにはーーーっ！！
・・・ポタッ・・・
・・・・
「・・・鈴香？」
「勘違いだって・・・これじゃあ 私 バカみたいじゃないですか・・・」
「・・・貴様、泣いておるのか？」
「泣いてません！あきれてる、だけです！！」
ヤツ自身の言葉とは 裏腹にその両目からは 大粒の涙が零れていく
「せっかく ガマンしてたのに、もう会えないと思ってたのに
とても嬉しいはずなのに・・・そんな あたしって一体・・・（ヒック）」
・・・・・・困った・・・
涙は 女の武器だというが
確かに これは 真剣や拳銃よりも 太刀打ちできぬ
千堂など ならば ここでハンカチでも差し出すところであろうが
あいにく 俺は 差し出すハンカチも持っておらぬ。
「・・・泣くのをやめろ 鈴香」
「そんな なぐさめ方がありますかっ！」
「・・・むぅ・・・」
ならば どうすればいいというのか？
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うむ こういう時は確か・・・
「・・・鈴香・・・」
「いいんです どうせ私なんて・・・キャッ！？」
彼女の腕の中に抱き寄せ、 その頭に軽く手を乗せた・・・
「・・・・・・」
「よしよし いいこ、いいこだ・・・」
「・・・雄蔵さん？」
「いい子だから もう泣くな」
「・・・・・・まさか・・・私を子供と 勘違いしてませんか？」
「ぬっ・・・ダメか？」
「いいえ・・・正解です。」
「ぬ？」
ぎゅっ
鈴香の両腕が 俺の腰にまわる
腹部に当たる感触が コイツが子供ではなく 女性だということを認識させる。
「む！？」
「・・・いいでしょう 今回は これで許してあげます。
その代わり今日一日 私の手伝いをしてくれること。これで よろしいですね？」
「代わりだと？待てっ、それはーーー」
それでは 俺は 本を買うことが出来ぬではないか。
大体なんで 俺が・・・
「いい・で・す・ねっ？」
「・・・うむ」
「ありがとうございます♪ では 一緒に車にのってください。
早くしないと イベントが始まってしまいますから☆」
「・・・うむ・・・」
駄目だ やはり コイツの瞳には逆らえん
俺は 観念して 席に腰掛ける。
「では 出発します。シートベルトしめてくださいよ」
「・・・うむ」
不思議なことだが この一年で 俺と鈴香の立場は逆転してしまったようだ
俺は 依頼の立場であったはずであったが・・・
だが 悪い気はしない。
コイツの側に居ると 心地よさすら感じる。
・・・ひょっとして おそらく これが・・・
「・・・『惚れた弱み』、というヤツか・・・（ボソッ）」
「え？ なんですか？雄蔵さん」
「・・・ふんっ」
鈴香の質問にあえて答えず 前方の建物を見据える
いつものごとく そびえている 巨大な建造物。
そこでは いつもと同じ・・・そして 少しだけ違う新しい出来事が待っておる。
・・・そう また あらたなイベントが始まるのだ・・・
・・・・・・・・・
〜 エピローグ： あんど とぅ びぃ こんてぃにゅう 【完】〜
あとがき
というわけで 最後の最後まで ご購読ありがとうございましたｍ（＿ ＿）ｍ
作家の ゴンジーと申します。
これにて 本当の完結ということで♪（ ＞ｗ＜）ｂ
いえ 実際のところ まだまだ 描きたい話はあるのですけどねｗ
鈴香さんが 初めて宅配の（当時バイト）に入った頃を描く
「鈴香 初めて物語」とか
郁美ちゃんが 兄につれられて 美術館にいった
「私と立川さん外伝 〜私と お兄ちゃん〜」とか
夏コミ会場屋上で繰り広げられた 雄蔵と爆弾魔の死闘を描く
「呼魅破の拳 〜ＶＳ禁愚ジャッキー編〜」とかｗ
１０月の 東京番長連合との 激戦を描く
「嵐の激闘！ 〜雄蔵 脅威の百人組手〜」とかｗｗ
・・・・半分冗談ですよ？（半分かい）
まぁ しばらくしたら ひょっとして 書くときもあるかもしれないので
その時は 生暖かい目で ご覧くださいませですｍ（＿ ＿）ｍ
では 本当に最後になりましたが このお話は この辺で
もし ご購読いただき 少しでも楽しんでいただけましたら 幸いです。
それでは