第14話 「大激戦!? 王 邪気に挑戦!!」【Bパート前編】

前回までのあらすじ。
謎の敵、王邪気を撤退させたコミレンジャー。くわしくは、前編を読もう!
 
〜コミックZ本部 オペレーションルーム

謎の敵、王邪気とゲルハラグロブラザーズについての作戦会議のため、
コミレンジャーの五人が集まっていた。

由宇「それにしても、司令と牧やん、おそいな。」

由宇がぼやく。

詠美「もー!いったい、何時間またせるのよー。」
彩「・・・まだ・・・11分と26秒しか、たっていません。」

彩は時計を見ながら秒単位まで正確につっこむ。

あさひ「で、でも、司令がお、遅れるなんて、め、めずらしいですね。」

少々(かなり?)内気な少女、桜井あさひ。普段はアイドル声優であるが、その正体は
コミレンジャー五人目の女、コミパピンクである。後楽園での戦いのときは、アニメの
アフレコのせいで駆けつけられなかったのだ。

瑞希「資料がどうのこうのって、いっていたけど・・・。」

ガー。

噂をすればなんとやらか。コミックZ司令、澤田真紀子と牧村南が入室してきた。

澤田「遅れてごめんなさい。当時の資料を探すのに手間取ってしまって。南。」

南「はーい、みなさーん。スクリーンに注目ー。」

そういいながら、どこからかリモコンを出しスイッチを押す。


メインスクリーンに、ほんの少し若々しい邪気の姿が映る。

一同「あ!」
詠美「こ、こいつー!」
彩「邪気・・・。」
あさひ「こ、この人が、ですか?」
瑞希「司令、これは?」
澤田「爆音の禁愚。かつて、暗黒サークルのひとつ、ハラグロブラザーズの幹部だった男よ。」
詠美「え?邪気じゃないの?」
澤田「爆音の禁愚というのは、暗黒サークル当時の名よ。」

暗黒サークルとは、コミレンジャーが誕生する前に悪の限りを尽くしていた、
悪の組織らの総称である。くわしくは、資料室を見よう!

あさひ「な、なんか、す、凄そうですね。」
由宇「名前だけならな。」
瑞希「暗黒サークルというと、わたし達の前にコミックZが戦っていた、悪の組織でしたよね?」
澤田「ええ、ハラグロブラザーズも当時のコミックZが闇に葬ったわ。・・・だけど、一部の幹部の行方がわからなかったの。」
由宇「その幹部が邪気。・・・爆音の禁愚っちゅうわけやな。」
澤田「ええ。おそろく、どこかに身を潜めて力を蓄えていたようね。」
由宇「組織が崩壊して、地下に潜って力を蓄える。よくある話やな。」
瑞希「そうなの?」
由宇「常識や。」
もちろん由宇の言っていることは、一般常識ではなくアニメや漫画、映画などの常識だ。

詠美「ずっとモグラのままでいればいいのに。」
あさひ「じゃ、じゃあ。い、今、邪気が出てきたって事は、暗黒サークルが、力をとり、とりもどしたって、こと、ですよね?」
詠美「ふふーんだ。暗黒サークルなんて、この詠美ちゃんさまにかかれば、ちょちょいのちょいよ。」
彩「だと、いいですね・・・。」
一同、静まりかえる。邪気の強さ(タフさ)は、実際邪気と戦った4人が知っている。
四人の必殺技にことごとく耐えた邪気。そして、その攻撃力は今だ不明だが、
おそらくかなりのものだろうと、詠美を除く三人は直感している。

詠美「あれ?みんな、なに黙りこんでるのよ?」

暗い雰囲気の中、一人浮いている詠美。

由宇「あんたの性格、うらやましいわ。」

あきれたように詠美に言う。

あさひ「そ、そんなに、強いんですか?」

実際、対面してないが、暗黒サークルという名だけで、かなりビビっているようだ。

由宇「ああ、少なくとも防御力はくらべものにならんほどにな。」
南「まあまあ、そんなに暗くならないで。ね?」

どんな時もマイペースを崩さない南博士。

澤田「参考程度にしかならないけど、当時の邪気の資料もあるわ。」
瑞希「本当ですか!」

一同に明るさが戻る。

澤田「あくまでも参考程度よ。」
由宇「かまへん、かまへん。参考程度でも。」

たとえ参考程度でも、敵の情報があるのとないとでは、かなり違う。

詠美「手の木シリアに斧持って、百円千円、怪しまれず。ってやつよ。」
あさひ「え、えーと・・・、な、なんですか?それ・・・?」
詠美「ことわざよ。知らないの?」
瑞希「こ、ことわざ・・・なの?」
由宇「大バカはほっといて。で、司令。」
詠美「こらー!無視するなー!」
南「詠美ちゃん、いい子だから静かにね。」

騒ぐ詠美をなだめる。

瑞希「王邪気とはいったいどういう人物なのですか?」
澤田「そうね、資料を見る限り。自分勝手なただのバカね。」
瑞希「じ、自分勝手なバカですか・・・?」

後楽園での戦いを思い出す四人。

瑞希「・・・たしかに。」

彩もうなずく。

由宇「自分勝手なバカやな。・・・どっかのだれかさんみたいに。」

そう言って、詠美のほうを見る。

詠美「ちょっと!なんでこっちを見るのよ!」
由宇「べっつにー。」
詠美「きー!」
あさひ「あ、あの、ケンカは・・・。」
南「まあまあ、二人とも。」

ケンカを止めに入る南。

瑞希「二人はほっておいて・・・、司令、ほかには?」
澤田「資料によると、バカだけどタフで、強いコミックパワーの持ち主らしいわ。」
瑞希「タフで、強いコミックパワーの持ち主・・・。」
由宇「ウチらの必殺技くらっても、平然としてたからな。」
詠美「この詠美ちゃんさまのこーげきをくらって立ってたんだもん。そーとーな、じつりょくものね。
    まあ、あたしが本気を出せば敵じゃないけどね。」

いつの間にかケンカを終え、話に参加する二人。二人の頭には、大きなたんこぶが ひとつづつあった。

澤田「あと、邪気は爆弾を作るのが得意そうよ。・・・見た目は、雑だそうだけど。」
由宇「そういや、あいつ後楽園に爆弾仕掛けてたな。あれって、どうなったんや?」
南「邪気さんの仕掛けた爆弾でしたら、スタッフの皆さんが解体作業を行っていますよ。」

スタッフというのは、もちろんコミックZのスタッフのことである。

あさひ「で、でも、爆弾テロなんて・・・。あ、暗黒サークルって、こ、コワイですね。」
瑞希「たしかに・・・、やろうとしたことは、コワイことだけど・・・。」

瑞希たち四人は、邪気との戦いを思い出す。

瑞希「・・・そう感じないのは、あいつの姿のせいかな?」
由宇「いや、もっと別のなにかや。」
彩「人柄・・・ですね。」
詠美「ふみゅう。むずかしいこと、わかんない・・・。」
あさひ「は、はぁ・・・。よ、よくわからないけど・・・。あ!いえ、そ、その、説明のしかたが
    悪いんじゃなくて、あ、あたしが、ただ、その、理解力がなくて・・・。ご、ごめんなさい。」

そう言って、なんども頭を下げる。

瑞希「べ、別にあやまらなくてもいいのよ。」
由宇「口で説明するより、実際会ってみればわかるって。」
詠美「そうそう、百耳は一味に屍って言うしね。」
由宇「こいつ、またわけのわからんことを・・・。」
彩「また・・・ことわざですか・・・?」
詠美「そうよ。今日の詠美ちゃんさまは、国語をマスターした、学者な詠美ちゃんさまなの。」

そんな詠美を尻目にしてコミレンジャー四人と南博士が集まる。

瑞希「今日の大庭さん、どうしたの?」
由宇「ウチが知るか。」
あさひ「な、なんか、よくわからない言葉使って・・・よ、よくわかりません。」
南「昨日、国語のテストがあったそうですよ。」
由宇「それでか。わかりやすい奴。」
瑞希「でも、あの調子じゃ、テスト・・・。」

一同、ため息をつく。
なお、このテスト結果は後日語られることだろう。

澤田「オホン。」
一同「あ。」

澤田司令の咳払いを合図に各自、自分の席へ戻る。

澤田「とにかく。ある意味、邪気はハラジロシスターズよりたちが悪いわ。
早急になんとかしないと。」
由宇「せやな。またどこかに爆弾でも仕掛けたれたら大変やしな。早いとこ、とっつかまえんとな。」
瑞希「問題はどうやって捜すかね。」

それが問題なのだ。ハラジロシスターズもそうだが、居場所が突き止められない。
コミックZの捜査能力が低いのか、今だハラジロシスターズのアジトもつかめていない。
(お約束といってしまえばそれまでだが・・・。)
ハラジロシスターズ相手なら、いつも通り専守防衛でいいのだが、
さすがに爆弾テロを平気で起こしかねないバカ相手では、そう悠長なことは言っていられない。

詠美「あんな派手な格好してるんだから、すぐに見つかるわよ。」
由宇「アホ。いつまでも、あないな格好してるか!即警察行きやで。」
詠美「ふみゅーん。」
瑞希「警察行きは、オーバーだと思うけど・・・。」
彩「噂には・・・なっていますね。」
瑞希「そんな噂、ありますか?」
南「さあ?まだ報告は入っていないけど・・・。」
由宇「組織の情報なんて、あましアテにせんほうがええで。ほとんどが、ガセネタや。」
瑞希「そ、そうなの?」
由宇「常識や。」

これも、、一般常識ではなく、アニメ、漫画と、某アニメグッズなどの常識である。
(また商品予定から消えた。この本、予定価格と違うじゃないか。ホント、よくあるなぁ。)

澤田「猪名川さん・・・、一応、あなたもその組織の一員なんだから・・・。」

あえて由宇の意見を否定しない澤田司令。まあ、情報を集める側、
ガセネタも集めてしまうくらいの幅広い情報網を持っているのはいいことではあるが・・・。

なお、コミックZの情報網はどの程度のものかは不明である。(単に作者が知らないだけ。)

瑞希「やっぱり、地道な捜査しかないか・・・。」
あさひ「そ、それしかないとおもいます。」
彩「・・・同感です。」
由宇「ま、しゃーないか。」
詠美「しょーがないわねぇ。」

・・・どうやら、コミックZの情報はアテにされていないらしい。
・・・どういう意味でアテにされていないのかは別として。

澤田「それじゃ、あなたたち。よろしくたのむわ。」
五人「了解。」


 
そのころ・・・

ここは、都内某所の住宅地
ハラジロシスターズ、総統カリスマンより密命をおびたゴッザールとナンダーナと、
その手勢オ・タークたちの姿があった。

オタク横「ボ、ボ、ボクたちの密命のひとつは、邪気を捜すことなんだなぁ。」
オタク縦「手段は拙者らに任すと言ってはおられたが・・・。」
オタク横「な、な、なにか、い、いい手はないのかな?」
オタク縦「フッフッフッ、我に秘策あり、でござるよ。」
オタク横「ひ、秘策って、な、なんなんだな?」
オタク縦「フフフ、今のところ邪気は、この東京のどこかにいるとしかわかっていない。」
オタク横「そ、そうなんだな。さ、捜すのが大変なんだな。」
オタク縦「その通り。このバカデカイ街から、たった一人の人間を捜すなど、不可能に近いでござる。」
オタク横「た、たしかにそうなんだな。」
オタク縦「ならば、おびき出せばいいのでござるよ。」
オタク横「ナ、ナイスアイディアなんだな!そ、それで、どうやっておびきだすんだな?」
オタク縦「フフフ、耳をかすでござる。」

オタク縦はオタク横に何やら耳打ちすると、オ・タークらに命令を下した。



 
舞台は変わって、コミレンジャー。

後楽園から地道な聞きこみによって、この住宅地までやってきたのだが、
ここに来て、邪気の足取りがまったくつかめなくなってしまったのだ。

瑞希「ここまで来て足取りがつかめなくなるなんて・・・。」
詠美「もうつかれたー!」

地面に座りこむ詠美。息を切らせているあさひ。表情は変わらないが、疲れていると
思われる彩。
それもそうだ、捜査をはじめてから休みなしで、もう6時間あまり
経過している。お日様も西の空に沈もうとしている時間だ。

瑞希「今日は、ここまでかな。」

腕時計を見ながらつぶやく。

詠美「もう帰ろーよー。あれ?パンダはどこに行ったの?」
瑞希「猪名川さんなら、まだ聞き込みをしていると思うけど・・・。」

オ・タークの声「ウイィー!!?」

一同「!」
瑞希「この声!?」
彩「・・・オ・タークの悲鳴です。」
あさひ「あ、あっちからです。」
瑞希「行ってみましょう!」
詠美「あ、まってよー!」



〜路地裏〜

オ・タークの声「ウイー!!?」
瑞希「こっちよ。」

タッタッタッ

四人が駆けつけると、オ・タークをどつきまくっている由宇の姿があった。

オ・ターク「ウ、ウイィ‐・・・。」

最後のオ・タークが力尽きる。

瑞希「猪名川さん、これは?」
由宇「ウチが聞きこみをしていたら、オ・タークがあないなことしてたんでな。」

そう言って塀のほうを見る。

瑞希「こ、これは!!」

塀には、ペンキで邪気の悪口がまんべんなく書いてあった。

瑞希「邪気のバカ、アホ、マヌケ、トンマ・・・、や、やだ!」

その上、放送禁止用語+下ネタ満載のど下手な絵の数々。
うら若き乙女たちには
過激なものだ。瑞希は思わず下を向く。

あさひ「はわわわわ・・・。」
詠美「パ、パ、パンダ!な、なんなのよ!これはぁ!?」
由宇「ウチに訊くな!」

放送禁止用語+過激な絵の前に、すっかり混乱しているあさひと詠美。さすがの由宇も少しだが、動揺しているようだ。

彩「・・・これを・・・。」

そんな中、ただ一人平静を保っている彩は、塀のはしっこに指をさす。
瑞希は手で目を覆いながら、恐る恐る指の先を見る。

瑞希「こ、これは!」

そこには、下手な字でこんなことが書かれていた。

『邪気へ。くやしかったら明日、午前11時にOX採掘所跡へ来るでござるよ。』


一同「(汗)」
瑞希「これって、いったい・・・?(汗)」
由宇「ハラジロも、邪気を捜しとるようやな・・・。(汗)」
瑞希「・・・どうする?一応、行ってみる?」
由宇「そうやな・・・、一応、行ってみるか・・・。」

だが、邪気がこの誘いに乗って来るかは疑問であった。

瑞希「そ、それじゃ、今日は解散ってことで・・・。」
近所のおばさん「あ、あんたたち!なにやってるの!?」
一同「!?」

この後、無実の罪で、この落書きを消しさせられたのは言うまでもない・・・。



Bパート後編に続く。