第14話 「大激戦!? 王 邪気に挑戦!!」【Aパート後編】


あらすじ、謎の男。王邪気に追い詰められた彩。くわしくは、Aパート前編を読もう。

 後楽園 〜

邪気「これまでだなぁ、コミパブラックゥ。」
彩「・・・く。」

爆発の余波をもろにくらってしまい、大ダメージを受け うずくまる彩と、それを囲む戦闘員達。

彩(このままでは、やられる。)

大ダメージを受けてしまい、身体を思うように動かせない。おまけに周囲を囲まれてしまい、逃げ道もない。
万事休すである。 

しかし、

邪気「ふふふ、このまますぐにおさらばするのもなんだ。メイドさんの土産に、
   俺様がここで何をしていたのか特別に教えてやろう。」
彩(・・・なんとか、なるかも。)
邪気「ふふふ、さあ、耳の穴かっぽじいて、よーく聞くがいい。」

自慢気にしゃべりながら、黒い木箱のようなものを出す。

邪気「俺はなぁ、こいつをしかけていたんだよ。」

木箱のようなものを彩の目の前にちらつかせ、そして それを天高くほうりなげ、次に手作りと思われるリモコンを出す。
パっと見ただけでは、おそらく、リモコンとは判断できないくらい雑な作りである。

邪気「よーく見てろよ。」

ポチ。

リモコンのスイッチを押す。すると、

ドカーン!

木箱のようなものが爆発したのだった。        

彩「爆弾・・・!」
邪気「ゲハハハ!そのとおり!今のは、音と煙だけの見掛け倒しだが、
   この園内にしかけた爆弾は、すべて、全部、俺様特製の破壊爆弾よ!ゲハハハハ!!」

この衝撃の台詞にさすがの彩も凍りついた。

邪気「ククク、やっと俺様の恐ろしさを思い知ったか。あとは、このリモコンのスイッチを押すだけで、
   この後楽園は、きれいさぱっり吹き飛ぶのだぁ!」

人は見かけによらない。ふざけた格好をしているがやろうとしていることは、
常日頃ハラジロシスターズのおこしている『悪巧み』程度とはわけがちがう。
邪気のしようとしていることは、まぎれもなく『犯罪』
それも、最悪の・・・。

彩「止めないと・・・」

傷ついた身体に鞭を打つ思いで立ち上がる。

邪気「ほほぅ、まだ立つか。さすがはコミレンジャー。その根性だけは誉めてやろう。だが・・・。」

ドン!

彩「!?」

戦闘員達が彩を押し倒し、山のようにのっかり手足を抑えつける。

邪気「そこで、俺様の爆弾の威力を見るがいい。ハーハハハ!!」
由宇「そうはさせんで!」

どこからともなく聞こえる声。

邪気「な、何奴!?」
由宇「コミパイエロー!」

その叫び声と、ともにどこからともなく颯爽と現れる由宇。

と、

詠美「こらー!パンダー!先にいくなー!」

遅れてドタドタとやってきた詠美。

邪気「仲間が来たか。だが、今さら雑魚が増えたところで何がどうなるというわけではない。ゆけ!戦闘員共よ!」
戦闘員達「ウィー!」


邪気の命令で全員、一斉に襲いかかる。

由宇「きおったな、いくでー。」
詠美「やっつけてやるんだからー。」

迫る戦闘員。

詠美「コピボン大増殺!」

召還されたコピー本が戦闘員たちを押し潰す。残った戦闘員たちも・・・

由宇「とりゃー!」

スパーン!スパーン!

由宇のハリセンのさびとなった。

邪気「全滅!?ば、馬鹿な!?相手は小娘たった二人だぞ!?」

驚く邪気。どうやらコミレンジャーの力を甘く見ていたようだ。

由宇「次は、あんたの番やで!」
邪気「ふ、ふん!・・・おもしろい。こうなれば、この俺様自らが相手になって・・!?」

前にでようとした邪気だったが、身体が動かない。

邪気「な、ど、どういうことだ!?」
彩「ペインテド・ブラック。」
邪気「何!?」

戦闘員が全員、いなくなったことにより彩は、身体に自由を取り戻していた。
そして、邪気が由宇たちに気をとられている内に、ペインテド・ブラックを発動、完成させたのだ。

彩「今のうちです。」
由宇「よっしゃ!」
詠美「とどめよ!」

二人は、技の構えにはいる。

邪気「こ、こら!ちょっと待て!き、貴様ら、卑怯だぞ!!」

だが、そんな言葉は彼女らの耳には届いていない。

由宇「猛虎応炎弾!」
詠美「コピボン大増殺!」

炎の虎と大量のコピー本が、邪気に襲いかかる。

ドカーン!

ズシーン!

直撃。噴煙が舞い上がる。

由宇「やったか!?」
詠美「とーぜんよ。このあたしが、とどめをさしたんだから。」

しだいに煙が晴れていく。そして、ひとつの陰が姿をあらわにする。

邪気「ククク。」
由宇「ま、まさか・・・」

煙が完全に晴れ、平然と立っている邪気の姿があらわになる。

彩「・・・冗談。」
詠美「ちょっと、マジ!?」
由宇「バ、バケモンか!?」

驚く三人。それもそのはず、あれだけの攻撃を受けたにもかかわらず、外見はボロボロだが、邪気は平然とした顔をしているのだ。

邪気「ゲハハ!そんな攻撃(ちょっと痛かったけど)効きはせんわ!ゲハハハハ!!」

少し痩せ我慢はしているが、たいしたダメージにはなっていないようだ。

由宇「なんちゅう、タフな奴なんや。」
詠美「ふみゅー!ナマイキィー!」
邪気「ふん、うおりゃぁぁぁー!!」

凄まじい気迫。
バババ!

彩「ペイテンド・ブラックが・・・!?」

邪気は、強引にインクの呪縛を破り、彩を睨みつけた。

邪気「よくもやってくれたな、コミレンジャー。今度はこちらの番だ!」

そう叫ぶと、ものすごい勢いで彩に向かって鉄拳をくりだした。

彩(よけられない。)

由宇・詠美「彩!?」

絶体絶命。と、その時。

ドコーン!

邪気「ぬあ!?」

どこからともなく、飛んできた光の球が邪気を直撃したのだ。

邪気「ぬぐぐ・・・、一体何だ!?」

体制を立て直しながら、あたりを見回す邪気。

瑞希「みんな、大丈夫!?」

どこからともなく、颯爽と現れる。

邪気「ぐぬぬ、またひとり増えやがって。何物だ!!}

半分やけくそなまりで叫ぶ。

瑞希「コミパレッド!」
由宇「レッド!」

瑞希のもとに集まる三人。

彩「助かり・・・ました。」
詠美「ふみゅーん。かっこいい登場しちゃってぇ。」
邪気「おい、こら、ちょっと待てぃ!」
由宇「ん?なんや?」
邪気「次から次へと、いいところで邪魔しおって、都合がよすぎるぞ!お前ら!!」

2度も邪魔されて怒る邪気。
まあ、たしかにコミレンジャーにとって、都合のいいことの連続だが・・・。

由宇「正義の味方やから、いいんや。」

さらっと言う。

瑞希「見かけない奴ね・・・、ハラジロシスターズの新幹部?」

そう訪ねると、彩が首を横にふった。

由宇「え?ハラジロとちゃうのか?」
瑞希「それじゃ、あいつ、何者なの?」
彩「よく・・・わかりません・・・。」
詠美「あんたー!こっちは、ちゃんと名のったんだから、そっちも名のりなさいよ!」

邪気に向かって怒鳴る。ちなみに名乗ったのは、詠美以外の三人。

邪気「ぬうう、いだろう。耳の穴かっぽじいてよく聞け!俺様の名は、王 邪気!
    暗黒サークル、ゲルハラグロブラザーズの首領だ!!」

瑞希・由宇・詠美「ゲルハラグロブラザーズ!?」
瑞希「新たなる敵!?」
由宇「そーいや、戦闘員もオ・タークと比べて、不細工やったな。」
詠美「なんか、ハラジロのパクリって感じぃ。」
彩「ネーミングが、イマイチ・・・。」

思ったことを口にする四人。

邪気「どうだ?恐れ入ったか。ゲハハハハ!」

そんな四人の話が聞こえていないのか、聞いていないのか、高らかに笑い叫ぶ邪気。

瑞希「・・・で、あいつ、ここで何やってたの?」

そんな邪気を無視して三人に訪ねる。

由宇「なんや、爆弾しかけてたみたいやで。」
瑞希「ば、爆弾!?」
邪気「その通り!この後楽園のいたるところに、俺様特製の超強力な爆弾をしかけてあり、
    このリモコンで、今すぐにでも爆発させることができるのだぁ!!」

そう言いながらリモコンを掲げる邪気。
あれだけの攻撃を受けたにもかかわらず、リモコンは何故か無傷であった。

彩「!」
瑞希「そんなことして、目的は何!?」
邪気「目的ぃ?決まっておろう。ここを爆破し、我がゲルハラグロブラザーズの恐ろしさを全世界にアピールするのだ!」
瑞希「アピール?」
邪気「そう!ゲルハラグロブラザーズの登場記念、アーンド、宣戦布告をかねての大アピール!
    俺様を否定した愚か者どもに、俺様の力を見せつけてやるのだ!ゲハハハハ!!」

由宇「なんや、こいつ。イカレているんとちゃうか?」
瑞希「そんなこと、させないわ!」
邪気「生意気なコミレンジャーめ。だが、このスイッチを押せば、俺の目的は達成される・・・って、あれ?」

さっきまで持っていたはずのリモコンが、無いことに気づく。

邪気「な、な、な、なぁぁぁー!!?リ、リモコンはどこだぁぁ!?」
彩「ここです。」

邪気の後ろに立つ彩。その手にはリモコンが握られていた。

邪気「い、いつの間に!?」
彩「あなたが、喋っている間に・・・。」

そう、邪気が、瑞希達と話をしている隙に邪気の後ろに回り込み、リモコンを奪ったのだ。

由宇「でかした、ブラック!」
邪気「お、おのれぇ、そいつを、返せぇぇー!!」

リモコンを奪い取ろうと、彩に襲いかかる!が、

瑞希「ブラック、パス!」
彩「はい。」

リモコンは、邪気の真上お通って、瑞希の手元に。

邪気「なぁぁ!この!」

方向転換して、今度は瑞希に襲いかかる。

瑞希「イエロー!」

リモコン、イエローへ。

邪気「ぬわ!?」
由宇「ブラック!」

ヒョイ。

彩「レッド。」

ヒョイ。

邪気「なぁ!?」

軽快な連続パスで、邪気を翻弄していく。

瑞希「グリーン!」

ヒョイ。

詠美「え?え?」

いきなりパスされて、戸惑う詠美。

邪気「そいつをよこせぇぇぇ!!!」

凄まじい剣幕で迫ってくる邪気。

由宇「グリーン!こっちや!」
詠美「ふみゅ!」

腕をぶんぶん振り回し、勢いよく投げる。たとえるなら、大車輪なんとかパンチ!

ヒュー。

リモコンは由宇はおろか、他のだれもいない方向へと、飛んでいく。

由宇「ドアホ!どこに投げとるんじゃ!」
邪気「待てぇー!」

リモコンを追う邪気。

瑞希「リモコンは、渡さないわ!」

それを追う瑞希と、あとに続く三人。

ヒュー。

地面に近づくリモコン。そして、

ジャボーン!

邪気「なぁぁぁぁー!!!?」

リモコンは見事、噴水の中に着水した。リモコンからは、バチバチという音が発せられていた。

瑞希「こ、これって、もしかして・・・。」
彩「・・・壊れましたね・・・確実に。」
邪気「な、なんてことを・・・。」

ガクリと肩を落とす邪気。

詠美「ふ、ふみゅ?」
由宇「こいつ、まだ、状況つかめてないみたいやな。」
詠美「・・・!・・・ふ、ふふふ。なんだかよくわかんないけど、あたしの大活躍のようね!」

邪気が肩を落としているのを見て、なんとか今の状況が理解できたようだ。

邪気「お、おのれ、おのれ、おのれ、おのれ、おのれぇぇ!!」
四人「!?」
邪気「よくも、俺様の偉大な計画を・・・。くぅぅ、コミレンジャー!」

殺気に満ちた目で睨みつける。瑞希、彩、詠見はもちろん、恐いもの知らずの由宇も、背中に冷たいものを感じた。

由宇「く、来るのか・・・?」

四人は、かな縛りにあったかのようにまったく動かない。
いや、動けなかった。緊迫した空気が後楽園を支配する。

邪気「コミレンジャー。」
四人「!?」

四人に、さらなる緊張が走る。

邪気「・・・覚えていろよ!」

そう言って、一目散に走り去る邪気。

四人「・・・ハ?」

予想外の展開に呆然とする四人であった。

シメキリ・オトス城

大志「ほう、つまりだ。お前たちは、吾輩の出した大切な任務にコア・オ・タークを連れ行くのを忘れ、
  あげくの果てに失敗した。・・・そういうわけだな。」

王座に座った男。ハラジロシスターズの総統カリスマンこと、九品仏 大志は、
冷たい目をして、感情のこもらない口調で淡々と喋る。

オタク縦「け、結果的にはそうなるでござるが・・・。」
オタク横「け、けれど、と、途中までは、うまくいっていたんだな。」

カリスマンの前で、土下座して必死に弁明を続けるナンダーナとゴッザール。

大志「吾輩は、過程などに興味はない。結果さえ出せれば良いのだ。」

と、これまた感情のこもらぬ口調で答える。

オタク縦「わ、悪いのは、こいつでござる。こいつがコア・オ・タークを忘れていなければ・・・。」
オタク横「な、な、なんてことを言うんだな!だ、大体、コア・オ・タークを、お前が連れていくはずだったんだな。」

失敗の責任を擦りつけあう二人。この二人には、連帯責任と言う言葉がないようだ。

大志「もういい。お前たち二人、一週間おしおき部屋行き」
二人「ひえー!?」
大志「・・・と、言いたいところだが・・・。今回は見逃してやろう。」
二人「え?」

意外な展開に戸惑う二人。そこへ、女三大幹部の一人、ミーホが入ってくる。

美保「カリスマン様。タングス様がお見えになりました。」
大志「ウム、通せ。」
美保「ハッ。」

しばらくして、ミーホと共に仮面の男、運命のタングス天王こと、千堂 和樹が入ってくる。

大志「おお、来たかマイ同志。休暇中のところを呼び出してすまないな。」

さっきまでの態度とうって変わり、歓迎の口調で喋る。

和樹「・・・すまないと思うなら、呼び出すな。」

いつもと違い、きげんの悪い和樹。修羅場であるこの時期に呼び出されたのも原因のひとつだが、
その原稿が今、〆切に間に合いそうもないという、危機的状況下にあるというのが、一番の原因だろう。

和樹「くだらない事で呼び出したのならキレるぞ。」

それほど原稿が、やばいのであろう。

大志「ふっ、吾輩とて、同志の今の状況を知らぬわけではない。」
和樹「・・・何があった?」
大志「まずは、この映像を見よ。」

ピ。

天井から巨大テレビモニターがあらわれ、後楽園でのコミレンジャーと、邪気の戦いの映像が流れる。

和樹「ラ・・・、いや、違うな。何物だ?」
大志「王 邪気。暗黒サークルの生き残りだ。本日午後、ゲルハラグロブラザーズヲ名乗り、後楽園でひと暴れした。」
和樹「暗黒サークル、まだ残っていたのか・・・。」
大志「これが、お前を呼んだ理由だ。」
和樹「・・・なるほど。」

暗黒サークルの復活。たしかに一大事だと、和樹は納得した。

和樹「それで、どうするつもりだ?」
大志「無論、消えてもらう。奴が我が野望の妨げになるのは目に見えている。」

その答えに和樹はうなづいた。

美保「お言葉ですが、カリスマン様。」
大志「なんだね?マイシスター、ミーホ。」
美保「ハッ。奴をうまく利用して、こちら側の戦力に引き込むというのはどうでしょうか?」
マユ「あ、良いアイディア。」

一応、ミーホのとなりにいた、女幹部マーユ。

夕香「そうですね。コア・オ。タークを忘れるだれかさんたちよりは、使えると思います。」

サラッと、きついことを言い放つユーカ。

大志「ふふふ、マイシスターたちの言いたいことは、よくわかる。だが、奴はあきらかに吾輩の理想と、大きくかけ離れている。」
三人娘「はぁ。」
大志「破壊と暴力でしか、世界を支配できないと思っている三流思想家。
   我々にとって、マイナスになることはあっても、プラスになることは、まずない。」
美保「わかりました。では、わたしたちがあいつを倒してごらんに・・・」
オタク縦「汚名返上!拙者らにその任を!」
オタク横「か、か、かならず討ち取って見せるんだなぁ。」
美保「あんたたちは、黙ってなさい!」

睨みあう女三大幹部と男二小幹部。

和樹「俺がやろう。」
美保「タ、タングス様!?」
和樹「そのために俺を呼んだのだろう。」
大志「ふっ、さすがは、マイ同志だ。・・・だが、お前では、やつには勝てない。」
一同「!?」

大志の衝撃的な台詞に一同、静まり返る。

和樹「どういうことだ?」

自分では勝てないと言われ、プライドに傷がついたのか、怒りがこもった口調で訪ねる。

大志「ふっ、そう、恐い顔をするな。・・耳を貸せ。」

和樹は無言のまま大志の前へ行く。大志は、和樹の耳もとで何やら喋る。

和樹「何?そんなものが?」
大志「そこでだ・・・。」
和樹「・・・なるほど、わかった。」

納得した様子で、大志の横の立つ。

大志「ナンダーナ、ゴッザール。貴様等に特命を与える。」
オタクズ「ハッ!」

=Bパート前編に続く。=



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