よりにもよって、あの二人だけで・・・。瑞希は内心そう思った。
瑞希「わかりました。至急、池袋に向かいます。」
そう言って通信機を閉じる。
和樹「何やってるんだ？瑞希。」
なにをやってるのか気になったのか、和樹が声をかけてきた。
瑞希「あ、な、なんでもないから。」
瑞希はあわてて答えた。そう、彼女がコミレンジャーであることは秘密なのだ。
瑞希「ごめん、和樹。急用ができちゃって・・・。」
和樹「急用？」
瑞希「ホントにごめん。それじゃ。」
そう言って出ていく瑞希。残された和樹は机に向かい独り言をもらす。
和樹「コミレンジャーか・・・。」
そう、和樹は瑞希がコミレンジャーであることを知っている。
何故なら、彼は彼女らコミレンジャーの敵、ハラジロシスターズのナンバー２幹部 タングス天王だからである。
和樹「・・・それにしても、あいつらも気がきかないな。」
ゴミが散らかる部屋を眺めながら、和樹は忌々しげにつぶやいた。
〜池袋 アニメイト本店前〜
ゴッザール「いやー、大量、大量でござるよ。」
縦長のオタク、ゴッザールが満足そうに語る。
ナンダーナ「コ、コ、コッミクパワー大量で。う、う、うれしいんだな。」
横長のオタク、ナンダーナも満足そうに語る。
ゴッザール「あとは、このコミックパワーの詰まった水晶玉を持って帰るだけでござるな。」
右手に持った水晶玉が神々しく光る。
ナンダーナ「き、き、きっと。ご、ご、ご褒美がもらえるんだな。」
ゴッザール「それでは、総員撤収でござるよ！」
オ・ターク達「ウィー！」
由宇「ちょっとまちぃ！！」
帰ろうとした矢先、女のコの声がこだまする。
ナンダーナ「こ、小、この声は！？」
ゴッザール「ど、どこでござる！？姿をみせるでござるよ！」
あたりをキョロキョロと見回すハラジロのみなさん。
由宇「ここや！」
ナンダーナ「あ、あ、あそこなんだな！」
その目線の先には、猪名川由宇ことコミパイエローが立っていた。
ゴッザール「お、おまえは！」
由宇「愛と正義の戦士、コミレン・・・」
詠美「何勝手にカッコつけてるのよ！温泉子パンダ！」
由宇の後ろからわめきながら、大庭詠美ことコミパグリーンが現れる。
由宇「こ、こら！大バカ、ひとがきめてる最中に邪魔するな！」
スパーン！
由宇のハリセンがわめく詠美を黙らす。
由宇「改めて、コミレンジャーイエロー！」
しばらくの間
由宇「アホ、さっさと名のらんかい！」
詠美「ふみゅーん！コミパグリーン。」
ゴッザール「ヌヌヌ、現れたでござるな。ヤングウーメン。」
ナンダーナ「きょ、きょ、今日は、ふ、ふ、二人だけみたいなんだな。チャ、チャ、チャンスなんだな。」
ゴッザール「いくでござるよ、オ・ターク達！」
オ・ターク達「ウィー！」
ゴッザールの合図と共に一斉に飛びかかるオ・ターク達。その数、３０。
２対３０。見た感じあきえらかにオ・タークの方に部はあるのだが・・・。
由宇「甘いわ！」
詠美「キー！むかつく、むかつくぅー！」
群がるオ・ターク達を次々たおしていくイエローとグリーン。全滅させるまで１分とかからなかった。
ゴッザール「さ、３０体のオ・タークが、１分で！？」
ナンダーナ「ば、ば、化け物なんだな。」
由宇「こんなプリティーな美少女にむかって化け物とはなんや！？化け物とは！」
気分を害したのか（そりゃそうだよな）反論する由宇
詠美「そうよ、そうよ！パンダはともかく。このあたしがバケモンって、どーゆーことよ！てーせいしなさい！」
スパーン！
詠美「ふみゅーん」
ゴッザール「ふ、二人で３０人もたおせば、十分化け物でござるよ！」
ナンダーナ「ま、ま、間違ったこといってないんだな。」
たしかに、たった二人で異形な物体、３０もたおせば、一般常識から見ても十分化け物である。
ゴッザール「ま、まあ、いいでござる。拙者らにはまだ、コア・オ・タークがいるでござる。」
ナンダーナ「そ、そ、そうなんだな。こ、こ、今回のコア・オ・タークは、い、い、池袋のサンシャインビルにちなんでるんだな。」
由宇「池袋のサンシャインやて？」
ゴッザール「いでよ！スリーシャ・・・ぬ！？」
なにか思い当たったのか、顔が蒼白になっていくゴッザール。
由宇・詠美「？」
ナンダーナ「ど、ど、どうかしたんだな？」
ゴッザール「・・・・・れたでござる・・・。」
ナンダーナ「き、き、聞こえないんだな。もう少し、お、大声でいってほしいんだな。」
ゴッザール「コア・オ・ターク忘れたでござるよー！」
ナンダーナ「ガ、ガーンなんだな！」
あわてまくるオタク二人
ゴッザール「かくなる上は、戦略的一時撤退でござるよ。」
ナンダーナ「そ、それしかないんだな。」
戦略的一時撤退・・・ 聞こえはいいが、ようするに【逃げる！】と、いうことである。
ゴッザール「今日のところは、見逃してやるでござる。」
ナンダーナ「あ、あ、ありがたく思うんだな。」
捨てゼリフを吐き、去ろうとするが・・・
由宇「逃すかぁ！ホームランバスタァー！！」
スパーン！！
ゴッザール・ナンダーナ「のわー！？」
キラーン
お星様になったオタク二人、そして
ヒュー
パリーン
コミックパワーの詰まった水晶玉も落っことし割れてしまうのだった。
詠美「ふみゅーん！あたしのかつやくぜんぜんないー！」
由宇「やかましいわ。」
ピピピ
由宇の時計形通信機が鳴る。
由宇「ん？なんや、本部からか？」
ピ
由宇「はい、コミパイエロー。・・・ああ、千紗ちぃか。どないした？ハラジロの連中は今さっき片付けたで。・・・あ？
なんやて！後楽園にもハラジロやと！？」
千紗［はいですぅ。彩お姉さんが、現場に急行してますです。］
由宇「わかった。ウチもすぐに応援に行く。ほな。」
ピ
由宇「詠美、後楽園に行くで！」
詠美「ふみゅ？なら黄色い電車で・・・」
由宇「アホ！丸の内の方が早い！」
そう言って、詠美のつかんで走っていく。
〜山手線車内〜
瑞希「え！？後楽園！？わ、わかったわ。」
千紗［急いでください］
ピ
アナウンス［車内での携帯のご使用は、ほかのお客様のご迷惑になるので、ごえんりょうください。］
瑞希「あっ（汗）」
水道橋駅前 後楽園遊園地ガーディアン
？？「ハーハハハ！」
学ランを着、あやしいガスマスクのようなものをした巨体の男が笑い叫ぶ。
そして、その周りにはオ・タークに”似た”戦闘員達が、なにやら作業をしている。
その数、２０
？？「作業は終わったか？」
戦闘員達「ウィー！」
？？「ようし、それでは撤収だぁ！」
戦闘員達「ウィー！」
男達がその場を去ろうとした、その時。
ドゲシ！
戦闘員６号「ウ、ウィー！？」
ドタ。
悲鳴（？）と、ともにオ・タークに似た戦闘員６号がたおれた。
？？「な、なにごとだ！？」
戦闘員達「ウ、ウィー？」
突然のことであわてふためくマスク男と戦闘員達。その間にも・・・
ドゲシ！
戦闘員１２号「ウ、ウィー！？」
ドタ。
ドゲシ！
戦闘員４号「ウ、ウィー！？」
ドタ。
次々にたおれていく戦闘員達。そして、６人目の戦闘員がたおれたとき、マスク男は高速で移動する黒い影の存在に気づく。
？？「！そこかぁ！ジャッキー・ボム！！」
そう叫ぶと右手から赤く光る球体が、黒い影に向かって放たれる。黒い影もそれに気づきギリギリのところで立ち止まる。
ドカーン！
地面に当たったその球体は爆発した。そして、そのすぐ近くには、長谷部彩ことコミパブラックが立っていた。
？？「何者だ！？」
お約束のセリフを叫ぶマスク男
彩「・・・コミパ・・・ブラック・・・」
小さな声で答える。
？？「ククク、なるほど。貴様が、あのコミレンジャーか。俺様の名は、」
彩「別に・・・訊いてません。」
？？「いいからきけぇい！いいか、俺様の名は、王 邪気（おう じゃき）！！秘密結社暗黒サークル、ゲル・・・」
得意げに語る王 邪気。しかし、彩はそんなこともの全然耳に入っていなかった。
なぜなら彩の関心は、オ・タークに似た戦闘員にあったからだ。
彩（オ・タークに似ているけど・・・違う・・・。）
彩が聞いていないことに気付いた王 邪気
邪気「俺様を無視するなぁ！！」
そう叫ぶと、ジャッキー・ボムを彩に向けて放つ。
彩はすんなりとそれをよけた。しかし。
彩「！？もう一発？」
そう、二発目のジャッキー・ボムが見事な時間差で飛んできたのだ。
なんとかよけようとする彩、しかし間に合わなかった。
ドカーン！
〜中央快速線 車内〜
大きな爆発音とその煙が、車窓から見えた。
瑞希「あ、彩さん・・・。」
あんな爆発を起こせる奴と彩は戦っている。瑞希はそう思うと、彩の身を案じずにはいられなかった。
瑞希（もう少しの辛抱よ、頑張って、彩！）
後楽園のある水道橋駅が見えてくる。しかし！
瑞希「ちょ、ちょっと、どういうこと！？」
電車は、彩が戦っている水道橋駅を素通りしてしまう。
そう、中央快速線、赤い電車は水道橋駅は素通りしてしまうのだ。
後楽園遊園地に行くのなら黄色い電車に乗ろう。
瑞希「そ、そんなぁ〜！」
後楽園ガーディアン
邪気「ほおう、たえたか。」
彩「はぁ、はぁ・・・」
なんとか直撃は免れたものの爆発の余波をもろにくらってしまい、その場に膝をつく
残っていた戦闘員達は、傷ついた彩をとりかこむ。
邪気「これまでだなぁ、コミパブラックゥ。」
彩の前に立つ王 邪気。
絶体絶命のピンチ。彩の運命はいかに？そして、王 邪気の正体とは？
【Aパート後編に続く。】
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