徐々に迫る決戦の時…！ 敵、味方共に新たな戦力、新たな力が加わる中 激化する戦闘に緊張の高まる我らがコミレンジャー！ それは、各々口にはせずとも、全員が『総力戦』を 意識し始めた証でもあった！ 固い決意と友情！ 同人戦隊コミレンジャー！ 今日も5人で悪を討つ！！ 「チェンジ！コミック・パワー、コスプレーション！！」
同人戦隊コミレンジャー 第29話 『決戦への前奏曲（プレリュード）！ 命を賭した縦と横！！』
「にゃぁぁぁぁ〜〜……っっ！！」 千紗は、参っていた。 何故かはわからないが、この公園に『何か』がある気がして かれこれ3時間は歩き回っていたのだ。 「にゃぁ…やっぱり千紗のカンなんかじゃ ダメみたいですぅ……。」 がっくりと肩を落とし、ベンチに座り込む。 そして、ふっと顔を上げる。 そのとき、遠くに見覚えのある人物が居るのが見えた。 （あれは…お兄さん？） 公園の隅に、一際目を引く巨木。 その人物は、その樹に隠れるようにし、何かをしているようだった。 (そういえば、最近全然印刷しに来てくれなかったけど どうしてたか聞けるかもです！） 「おに〜さ〜〜ん！」 大声で呼んでみるが、返事が無い。 人違いだろうか…そう思い目を凝らすが その目に映る『彼』は間違いなく 千堂 和樹。その人だった。 とは言え、声が届くか届かないかの距離。 向こうが千紗に気付いていなければ聞えないのも無理は無い。 彼女はそう思って、一転、元気になりベンチから立ち上がった。 そして 「おに〜さ〜ん！」 駆け出す。 それと、ほぼ同時だった。 「煌け！俺のコミック・パワー！ チェンジ・コスプレーション！！」 眩いまでの光。 「にゃ、にゃああああっ！」 思わず悲鳴を上げる。 「そして…いでよ、合成怪人『ゴッダーナ』！！」 「にゃ、にゃああっ！！」 慌てて逃げ出す。身体が反射的に動いた。 そして、千紗ははっきりと見たのだった。 光の向こうの、仮面の人物を。 そして彼が、怪人を産み出したのを。 「は、はわわわわっ！ 仮面がおにーさんで、おにーさんに仮面で 仮面が怪人さんで…っ！？」 走りながら、見たものと状況を整理しようとする千沙。 しかし混乱するだけで、全然まとまらない。 わかったのは 「お、おに−さんが、変身したです〜っ！！」 「…誰だっ！」 叫ぶタングス。しかし既に千紗の姿は無い。 かくして、公園のその場には、タングス天王だけが残された。 「見られた…か？ あの声は千紗ちゃんだろうが…どうする？」 一人呟いてみる。 「……彼女なら、気にする必要もないか。」 自嘲気味に笑って、剣を抜く。 「さあ、やれ！好きなように暴れるがいい…。 そして、奴等を呼ぶのだ、そう、コミレンジャー達を…！」 「モエーーーーーーーー！！！」 ゴッダーナが叫びを上げると、あたりの木々がなぎ倒されていった。 「こいつを…倒せるか？コミレンジャー……！ …瑞希！！」
コミックＺ、作戦室。 「南さん！ 新宿中央公園に、ハラジロシスターズの怪人が出現です！」 誰かが叫んだ。 と、ほぼ同時にものすごい勢いで作戦室の扉が開け放たれた。 「大変ですぅ！仮面のおにーさんが公園で怪人さんですぅ！！」 飛び込んできたのは千紗だった。 息切れしており、言ってる事もまとまっていない。 「仮面の…！？」 その言葉にまず反応したのは瑞希。 「って事は、タングスのボケも一緒やっちゅう事か！？」 由宇。 「さっそく、リッベーンジ！のちゃんすが巡ってきたのね！」 詠美は嬉しそうだ。 「き、気を引き締めて…今度こそ、彼を倒さないと…！」 あさひの言葉に、全員に緊張が走る。 そして 「行きましょう、皆さん！！」 彩の力強い言葉。 全員が顔を見合わせ、強くうなづく。 「チェンジ！コミックパワー・コスプレーション！！」 飛び出す五人。 「ああ、まって下さいみなさぁ〜ん！！」 叫ぶ千紗。しかし五人の耳には届かない。 そんな千紗を見て、南が彼女の肩を叩く。 「大丈夫ですよ。皆さん、いつの間にか成長してますし そんなに心配しなくても…。」 にっこりと、いつもの笑みで。 が、千紗はそんな彼女を見て、大泣きをはじめた。 「ど、どうしたんですか？」 「違うんですぅ！大変なんですぅ！！ おにーさんが変身して仮面のおにーさんで 仮面のおにーさんはおにーさんだったんですよぉ！」 「ちょ、ちょっと…落ち着いて？ 何言ってるのか、さっぱりですよ？」 「ふみゃあぁぁぁ…！」
新宿中央公園に到着した5人を迎えたのは、怪人『ゴッダーナ』の 容赦無い先制攻撃と、そのあまりにも醜い姿であった。 いや、先制攻撃という言葉は当てはまらない。 ゴッダーナは、あたりかまわず無差別に攻撃をしているのだ。 怪人とタングスを取り囲む無数のオ・ターク達も、既に何人も犠牲になったらしく 周囲は残骸だらけである。 つまり5人は、到着と同時にゴッダーナの攻撃にハチ合わせたのである。 「モエーーーーーーッ！」 ゴッダーナが咆哮（？）を上げると、その口からは無数の火球が産まれる。 「げげげっ！き、気持ち悪いっ！」 「レッド！そんな事言うてる場合ちゃうで！！」 「モエェェェェェっ！！」 その火球を手で取り、投げる、投げる、投げる！！ 「吐き出すんちゃうんかーーーいっ！！」 獄炎に包まれる周囲。逃げ惑うしかない5人。 しかしそんな状況でもツッコミを忘れないイエローの精神は さすがであろうか。 「くっ…馬鹿が！知能レベルの低下は覚悟していたが 俺まで巻き込むような攻撃をするとはな…！」 木陰から、苦々しげな声が響いた。 「タングス天王！！」 5人が一斉に叫ぶ。 「どうだ？今回の俺の作品は…。 見てくれと頭は悪いが、破壊力だけならインフェルノさえも上回るぞ…？」 「そう…みたいね。」 周囲を見回しつつレッドが言う。 その額には、暑さのせいでは無い汗を感じた。 「まあ、おかげで俺自身も少し危険かもな。」 嘲笑を浮かべながら。 その表情からは危険も、緊張も読み取れない。 現にタングスは、自らの周りにコミックパワーによるバリアを張っており 周囲の状況とは一転、完全に無傷である。 …そう、周囲は、既に焦土と化しつつあるのだ。 「に、しても今回はブッサイクな怪人ね！ このちょおくい〜んなわたしの前にそんなの出すなんて 失礼しちゃうにもホドってモンがあるんだから！」 「お、珍しくグリーンと意見が合うな。それもアンタの『創造の力』で産み出したんなら もっとカッコエエの描けんとウケへんで？」 「ふん、戯言を…。」 「モエェェェーーーッ！」 ゴッダーナが、今度はその太った巨体をゆすると… グラグラグラグラ…っ！ 「きゃ、きゃあ…！地震！？」 「ち、違い…ます、あの怪人が起こしてる…きゃあ！」 たまらず転倒する二人。 「だ、大丈夫！？」 レッドが叫ぶ。 「仲間の心配をしてる暇があるのか？コミパレッド！」 タングスが言うとほぼ同時だった。 ゴッダーナの縦長の顔…その額からレーザーが放たれたのだ。 紙一重、ジャンプしてよけるレッド。 「あ、あっぶないじゃないの！」 続いてイエロー、グリーンも。 「見た目と違おてごっつい攻撃しよんなぁ！」 「ちょおムカツク！この不細工！」 各々、回避運動に成功する。 しかし、そのレーザーはまるでコンパスの針のように ゴッダーナを中心として円の軌道を描いていたのだ。 レーザーはそのまま、先程転倒させられたピンクとブラックを襲う。 「危ないっ！！」 レッドの叫び声が響いた刹那。 「きゃあぁぁぁ…っ！」 2人分の叫び声。 レーザーが直撃した為か、煙に包まれる。 「ピンク！ブラック！！」 残された3人が叫ぶ。 「まずは2人…か。たわいないな。 どうだ？『醜く』『頭の悪い』こいつに仲間を消された気持ちは？」 タングスが嘲笑う。 そして煙が晴れたとき…そこに2人の姿は無かった。 「タングス天王…っ！アンタ…はっっ！！！」 そんな彼を睨みつけるレッド。 だが、タングスは全く意に介さず、ただ氷のような嘲笑を浮かべるのみである。 「威勢のいい事だ。だが…もうチェック・メイトはかかってるんだがな？」 「な、なんやて！？」 「なぁぁんですってぇ！ このくい〜んなわたしにチェック柄のメイド服を着ろってゆーの！？」 「あほかーーーいっ！！」 イエローのハリセンが炸裂する。 「ボケにしても苦しいし、本気で言うたんならホンマモンのアホや！ チェックのメイド、やなくてチェックメイト！！」 「あ、あのなぁ…。」 その様を見て、タングスが普段と違う調子の声を出してしまう。 「！……今の…声！？」 それを聞いて様子が変わったのはレッドだった。 「どないした？レッド？？」 「う、ううん…何でもない。」 「とっにっかく！ピンクとブラックの仇なんだからぁ！ このちょおくい〜んなわたしが相手してあげる！」 「…グリーン……。」 だが、タングスは、相変わらず笑うだけである。 「何がおかしいっちゅうねん…無性にハラ立つわ！」 「ふふふ…。」 「いや…、な。 『チェック・メイト』だと言っているのがわからんのが おかしくてな……。」 低く、冷たく響く声。 「さあ、やれ！ゴッダーナよ！！」 「モ、モ、モ、モエェェェェェーーーーっっっ！！！」 ゴッダーナが一際大きな咆哮を上げる。 それに呼応するかのように ゴゴゴゴゴゴゴゴ…… 「な、何、この音…？」 「…地響き？？」 光が、立ち上った。 先程、ゴッダーナのレーザーによってつけられた地面の裂け目から。 円周型に。 3人は…光に囲まれていた。 「こんなん…アリかいな…？」 「ちょ、ちょっとぉ！ これって、ひょっとして、ちょおヤバイ状態なんじゃないの！？」 「見たらわかるやないかい、このアホ！」 「ぶーぶー、またアホって言ったぁ！！」 「さあ…消えろ！コミレンジャー！！」 「モーーーーーエーーーー！！」 全方位から光の奔流が3人を襲う…！ 「………和樹ぃぃぃーーーっ！！」 …爆音。 ……爆炎。 ………渦巻く、光。 …………煙に包まれて。 「…意外にあっけなかったな…。こいつらのコミックパワーは 本物だったということか…。」 タングスが、ゴッダーナを見ながら言う。 その表情と語気は、どこか苦々しげであった。 「コミレンジャー…残念だったな。 俺としても…少しばかり、失望したよ…。」 「モエーーーっ！！」 タングスがマントを翻し、背を向けたその瞬間だった。 「ターングス君っ☆ これが、まーだ終わってないのよね！」 「！この声！！」 再び振り返るタングス。 そこには、満身創痍の5人の戦士、そしてコミパダークの姿が！！ 「また…君が邪魔するのか！コミパダーク！」 「とか何とか言っちゃって。 本当はみんな無事なことに、少しほっとしてるんじゃないの？」 「……！戯言をっ！！」 「ダーク…あ、ありがとう…。」 「でも…うちら、どうやって助かったんや…？」 「へへへ☆ タングス君と、同じことしただけだよ。」 そう言われて5人は納得する。 確かにタングスもあの中に居たはずだが、傷一つ負っていない。 「コミックパワーでバリア張っちゃった！」 「ね、ねぇ！じゃああのときピンクとブラックが消えたのは…？」 「少しだけ2人とも怪我してたしね。 手当てのために離れてもらってたんだ。 2人とも、命に別状はないわよ。」 「でも…そのせいで遅れちゃってゴメンね。みんなは少し休んでて。」 「…話はそこまでにしてくれないか？」 冷たく響くタングスの声。 「コミパダーク…君が居るとコミレンジャーを仕留めるのは無理そうだ…。 まずは君から倒す！」 「…出来る？」 「やってやるさ…行け！ゴッダーナ！！」 「モエーーー！！」 ズシン、ズシン、ズシン… と、鈍い音をさせつつも、高速でダークに迫るゴッダーナ！ 「うわっ！？」 間一髪で、体当たりを避ける。 「その巨体でその速度は反則ね〜。 ジ・○じゃないんだから…。」 いつもの軽い調子でダークがちょっとしたジョークを飛ばす。 が、その顔は決して笑っていない。 「見てくれで油断しないことだな。 このゴッダーナは、今までのどんな奴よりも強いコミックパワーを持ってる上に それを無尽蔵に放出できるのだからな！」 「モエーーーーっ！」 右手に火の玉、 「モ、モエーーーっ！！」 左手に氷の塊、 「モーーーエーーーーっっ！」 ゴッダーナは、コミックパワーでそれを一つにしようとしている！ 「い、いけない、あれは…！」 「な、何？どうしたのブラック！？」 「あれは…相反する2つのエネルギーをぶつけて、全てを消滅させる 新しい力場を作る技だと思います！ あれが完成したら、あれに触れたもの全てが消滅してしまいます！」 「なななな、なぁんですってぇ！？」 「つまり…メドロー○やな！」 「あ、あの…そこで、そういう例えは…。 わかる人とわからない人が居ますし…。」 「な、何の話？ピンク…？」 「い、いえ…。何でも、無いです…。」 「とにかく！止めちゃうわよ！」 ダークが、言うが早いか飛び出していく。 「もう遅い！」 タングスが叫び、手にしたＧペンを横薙ぎに振る。 コミックパワーの衝撃波がダークを襲い、不意をつかれて直撃する。 「ああぁっ！」 ドサッ…と、人の倒れる音。 「しまった…！タングス君の動きを、見ていなかった…！」 「だ…ダーク…っ！」 レッドが声を絞り出し、起き上がろうとする。 だが無情にも 「モエモエモエーーーーっ！！！」 ゴッダーナの掌は、2つのエネルギーを1つにして… じゅわわわわ〜〜〜 ………音を立て、そのエネルギーは、蒸発した。 …………… し〜〜〜ん…… 「モ、モエ？？」 「モエモエモエ？？？」 「…こ…の、大馬鹿者がっ！！」 一瞬にしてタングスの怒りは頂点に達した。 彼はその手にしたＧペンをゴッダーナに向かって振るい 「モモモモモモモエーーーーーっ！」 次の瞬間、ゴッダーナには巨大な翼が生えていた。 「もう貴様は考えるな！所詮はゴッザールとナンダーナか！！ どこまで行っても使えない奴らめ！！」 叫ぶタングス。 「何ですって…どういうことよ！ あなた…仲間に何をしたの！？」 レッドが叫ぶ。 「ふん…見て気付かなかったか？これがゴッザールとナンダーナの最後の作戦と言うわけだ。 こいつらはな、自ら望んだのだよ、怪人になることを！！」
数時間前。シメキリオトス城。 「我輩は、せっかく同志となったお前達をむざむざ処刑するような真似は 本当はしたくないのだが？」 「ぼぼぼぼ、僕達も、処刑はイヤなんだな…。」 「な、なんとか…助けて欲しいでゴザルよ……！」 「とは言ってもな…総統閣下。こいつらに何の罰も無いのは、他の部下… 特にラ・オーあたりに示しがつかないのでは？」 「タングスの言うことはもっともであろう。だが、だ。 拷問室から出てきたあと、我輩はこの2人の口からまともな作戦を聞いていない。 効果無しならば、どうすべきだと思う？まいぶらざぁ。」 「ま、まままって、待って欲しいんだな！ボ、ボク達は たった今まで ずっと 、もの凄い作戦を あたためてたんだな！！」 「…逃げ口上の戯言か？話の内容によっては…」 「ひ、ひぃっ！！」 「まぁまぁ。ぶらざぁよ、剣をしまうがいい。聞いてやろうでは無いか。」 「……話せ、ナンダーナ。」
「…そして奴はこう言ったのさ。 『人形やグッズでなく、コミックパワーをもった人間そのものを触媒にすれば それは 最強の怪人になるはず』と…。」 「…何て…事を。」 ダークが絶句する。 「ちょっと…待ってよ…。 今までわたし達が倒してきた怪人は、倒した後、触媒となったフィギュアの 残骸が残ってたのよ…？」 レッドが、やっとの思いで立ち上がり、言う。 「…だったら…何だ？」 「わたし達がそいつを倒したら…その2人はどうなるのよ！！」 「今までの残骸のように…なるんじゃないか？」 冷たい、声。 クククッ…という声が漏れた。ぞっとするような声だった。 「…許せへんなぁ……。」 イエローがゆっくりと立ち上がる。 「なんか…なんでかわかんないケド、ちょおムカツク…！」 グリーンも。 「あなたは…仲間を、何だと思ってるんですか…っ？」 ブラックにしては珍しい、はっきりとした、その言葉、表情。 「ごめんなさい…わたし、あなたを許せません…！」 ピンクも立ち上がり、5人は力強い足取りで、ゆっくりとゴッダーナに迫る。 「ほぉ…まだ立てるのか…面白い。」 「わたしも…わすれちゃ、イヤよ。」 ダークも立ち上がる。 「みんな…ソクバイカイザーを使いましょう！」 「そうや…レッドに、賛成や。」 「パンダと同じなのはイヤだけど、レッドには賛成！」 「あの2人を…助けてあげないと。そのためには…！」 「そ、ソクバイカイザーしか、ありません！！」 「そうよ…5人の心を1つにして！」 ダークが叫ぶ。 「ふふふ…そうか、再びアレを出す気か…。 だがっ！！」 タングスは、コミックパワーを高める5人を一瞥し、手に持つＧペンを天に掲げた。 「煌け！俺のコミック・パワー！ 唸れ、正義の力！ チェンジ！修羅場モーーーードっ！！」 一瞬にして、タングスが修羅場モードになる。 「何度も、そんな即興原稿を認めると思うなっ！！」 「響け！大気よ！！ 世界よ！感じろ！この力を！！ 創造の力…我に有り！！」 一瞬…そう、本当に、一度の瞬きをする間だった。 タングスの頭上に、巨大ロボが描かれていたのだ。 「な、なんやてぇ！？」 「黒い…ソクバイカイザー！？」 「見たか！これが、俺が対ソクバイカイザー用に描き上げておいた新兵器 『オフカイザー』だっ！」 -------------------------------------------------------- 『来たれ！オフカイザー！！』 作詞：K&H 作曲編曲：作成未定 歌：タングス天王（？？？？） 俺の正義は どこへと消えたか 俺の心は あの日に溶けたか 真友（とも）よ お前は 俺が必要なのか タングステンの絆は 永遠か 信じて 走るは 修羅場のこの道 従い 守るは カリスマン 来たれ！オフカイザー 呼べば答える 来たれ！オフカイザー 右手に剣を 来たれ！オフカイザー 絶望を乗せて 来たれ！オフカイザー 同志と共に コミレンジャーを 没にするのさ オ・フ・カイザーーーー！！ -------------------------------------------------------- 「パチもんのクセに主題歌付きやて！？」 「ちょおムカツク！自分が主役みたいにっ！」 「タングス！悪ふざけもほどほどにしなさいよ！！」 「ど、同人界で言うと、あなたのは盗作です！」 「え、えっとえっと…！」 5人が口々に文句を言う。 だが、それさえもタングスの計算内だった。 「喚いているヒマがあるのか？ お前達のソクバイカイザーは、まだ具現化してないではないか？」 「み、みんな、集中して！ タングス君の術中にはまっちゃダメ！！」 「ダーク！もう遅いのだよ！」 オフカイザーが、タングスの目の前に降りる。 「遅くなんか無い！ あなたの力では、わたし達5人の結束の力は破れないわ！」 レッドが言う。 「ふふ…そうか。そうだったな…。 前回は確かに、してやられた。」 仮面の下の表情が、冷たい笑みを浮かべる。 「ならば！具現化する前に叩くのみ！！」 タングスが叫ぶと同時に、ゴッダーナが再び口の中に火球を産み出していく。 「いけない！みんな、急いで！」 叫ぶダーク。 だが。 「遅いっ！」 あっという間だった。 おそらく、一瞬にも満たない時間。 ゴッダーナは5人を一度に蹴散らしていた。 「わあぁぁぁぁ！」 「みんな！！」 5人の悲鳴と、ダークの叫びが混ざる。 「ソクバイカイザーの具現化はさせん！」 「くぅ…っ！」 「は、はやい…です…」 「でも…わたし達は、そう簡単に倒れないわ！」 レッドの強い意志、そして瞳。 それさえも、タングスは嘲笑う。 「ならば…その意思ごと、叩き潰してやろう…！」 ゴッダーナは倒れている5人を見下した後、間合いをとった。 そしてゆっくりと、両の手を組み、前方へと突き出す。 「ゴッダーナ…全力でやれ！」 「モモモモモエエエエーーー！！」 その硬く握られた拳には、異常なほどにエネルギーが集まり… 撃ち出された。 「きゃあああぁぁぁっ！！」 響く悲鳴。重なる爆音。 6人は間一髪で回避に成功したが、ゴッダーナは再び同じ攻撃の準備をすでに始めている。 「な、何、あの力は…。」 さすがのブラックも戸惑いを隠せない。 ともすれば、タングス以上の力。 それを、続けざまに放てる存在など、彼女の理解さえも超えていたのだ。 だが、同時にダークは思った。 明らかに、ゴッダーナはコミックパワーを使いすぎてる、と。 「ふん…どうやら、オフカイザーは必要なかったようだな。」 コミレンジャーを一瞥し、タングスが言う。 「みんな、集中して！今は耐えて！ あんな無茶なコミックパワーの使い方してたら、すぐにパワーが底をつくわ！ そうなったら…！」 ダークが必死で5人に語りかける。 ゴッダーナの攻撃自体は確かに威力もあり、危険ではあるが 1発1発の射出に時間がかかるし、軌道も読みやすかった。 6人は、ゴッダーナの頭の悪さに救われていた、といえる。 そのため、ダークの作った治癒結界で 5人は少しずつ回復していた。 やがて、立ち上がる5人。だが、その足取りは決して強くない。 「なかなかしぶといな…コミレンジャー！」 タングスの笑い声。 「何笑ってるのよ…！ 耐え切れば…わたし達が耐え切れば、アンタの負けよ！ タングス天王！」 「そうか…よく吼えたな、コミパレッドよ。ならば耐えて見せろ！」 「みんな！5人の心を、1つにするの！！ そして、ソクバイカイザーを！」 ほぼ、我慢比べの状態だった。 やがて、5度目のゴッダーナの攻撃を、何とか凌いだ時 巨大な怪人は、その動きを止めた。 「ちぃっ！」 「今度は…うちらの番やな…。」 イエローの言葉。 しかしタングスは全く動じていない。 相変わらずの笑みを浮かべるだけである。 「どうして…どうしてあなたは笑ってられるんですか！？」 ピンクの悲壮な叫び。 それは、果たして何を意味したろうか。 だが、タングスは、言葉の意味をそのまま受け止め、答える。 「次がお前達の番…では無いから、笑ってられるのさ…。」 「オフカイザーよ！ゴッダーナの血となり、肉となり そして知恵となるがいい！！」 タングスが閃光と共にＧペンを振るう。 すると、オフカイザーは光の固まりとなり、ゴッダーナに吸い込まれていった。 「あの光…まさか、コミックパワー…！？」 「うそ…タングス天王の力を、取り込んでるの！？」 それを見た6人の戦士たちは、驚愕の表情を浮かべ 力なく座り込んでしまった。 「驚いたか？ゴッザールとナンダーナの望んだ姿さ…！」 「モォエエエェェェ……！」 そこには、怪『人』とはとても呼べない異形の生物がいた。 魔獣、という方がふさわしいか。 「カイザーゴッダーナ…とでも、名付けようか？」 余裕の笑みをたたえるタングス。 恐ろしいほどにゆっくりと、コミレンジャーに歩み寄るカイザーゴッダーナ。 「さて…続きをやろうか…。」 その巨体と、溢れるコミックパワーは まさに『絶望』の象徴として、コミレンジャーに立ちはだかった。 次の瞬間。 音よりも早く、魔獣が動き… コミレンジャーは、再び地に伏していた。 「な、なんてスピードと、パワー…！」 「アカン…こんなん、反則やわ…。」 「うう…ポチポチの…クセ…にぃ！」 「駄目です…、力の差が、ありすぎます…。」 「せめて…せめて、澤田指令がいれば…！」 「にゃはは…。メンゴね、みんな…。」 6人は、そのまま…動かなくなった。 「……。」 それを見たタングスは、何故か苛立だし気に 「あきらめた…のか？」 と言う。 「………。」 しかし、タングスの問いに、答えるものは居ない。 6人の少女達は、理解をしてしまった。 敵のコミックパワーが、自分達より圧倒的に上だと。 『自分達に勝ち目は無い』 と。 「あきらめた…のかっ！？」 再びタングスが叫ぶ。 「立て！立ち上がれコミレンジャー！！ お前達の信念は、結束は、友情は、コミックパワーは こんなところで終わるのかっ！？ こんな場所で朽ちるのかっ！？ 誰も俺を止められないのかっっっ！！」 「くっ…！」 レッドが、立ち上がる。 「やってやる…やってやるわよ！ 勝ち目なんか無くても、わたしは今までのわたし達の戦いを やってきたことを、自分達の正義と信念を信じてみせる！」 「そうだ！それでいい！！ コミックパワーの原点を思い出せ！ 何故このゴッダーナがここまで強力なコミックパワーを持つのか気付け！ 元は『あの』2人だぞ！」 「…そうか！」 ダークが勢いよく立ち上がる。 「コミックパワーの原点は…。」 イエローはすっかり元気な様子で。 「ふみゅう…萌えるココロ…よね…。」 反面、グリーンはまだダメージが抜けていないが それでも立ち上がる。 「つ…まり…。」 ブラックも。 「あの2人は、萌える心は人一倍強かった！」 そう言ったのはピンク。 「そうだ…コミレンジャー。 お前達は戦いに慣れ、コミックパワーの扱いも上手くなった。 だがその分、自分のコミックパワーの限界値を無意識に決め 萌える心を忘れつつあったのだ…。 そんな事では、俺を超えることは出来ん！」 「なら、超えて見せるわ！ わたし達5人の心を、もう一度一つにして！！」 「そうだ！やってみろ！ 見事このカイザーゴッダーナを打ち倒してみせろ！！」 しかし、タングスが叫んだ刹那、異変は起こった。 『茶番は、そこまでにしてもらおうかっ！』 天が、地が震えるような声。 それと共に、巨大なコミックパワーの奔流が、全てを包み込んだのだ。 コミレンジャー達。 カイザーゴッダーナ。 タングス天王。 公園の、残った木々達。 何もかも。 カイザーゴッダーナは砕け、ゴッザールとナンダーナは彼方へと飛ばされていった。 「結局こうなるんだなーーーーっ！」 「生きてるだけマシでござるよーーーーっ！！」 そして、奔流が収まった後… 意識を失ったはずのコミレンジャー6人の姿は無く そこにいたのはタングスと… 「どういうつもりなのだ？タングス天王よ…。」 「答えによっては、いかにまいぶらざぁと言えど 容赦はしないが…？」 2人の男…ハラジロシスターズ幹部『闘神ラ・オー』と その総統カリスマンだった。 「どういうつもりってのは、こっちのセリフだな。 もう少しでコミレンジャーにトドメをさせそうだったのに あなたの邪魔が入るとは思いませんでしたよ。」 タングスはラ･オーを見据えて言う。 「とぼけるか…。」 ラ･オーも引かない。 「まぁ待て、2人とも。」 それをカリスマンが止める。 「まいぶらざぁタングス…いや、千堂和樹よ。 我輩も先程の戦いは見ていた…。 コミレンジャー達が絶望しかけたあの瞬間、何故トドメをささなかった？」 「……つまらなくなったのさ。大志。」 その表情と言葉は、仕える主君に対してでは無く 友へのそれだった。 「つまらなく…だと？」 「今まで散々苦戦させられたコミレンジャー達が、あの程度で絶望する様を見てね。 あの程度で信念も、正義も、心も揺らぐなら 最終的には俺達の敵じゃ無い。」 「だから…いつでも消せるから、見逃した… そう言うのか？和樹…。」 「…そんなところだ。 それに、今回オフカイザーは戦っていない。 オフカイザーを使えば、奴らは敵じゃないだろうさ。」 しばらくの、間。 考え込む様子のカリスマン。 やがて… 「タングス天王、闘神ラ･オーよ。 今回は、コミレンジャー達をあと一歩まで追い詰めたが、無念にも逃走を許した。 だが、今回、その力の差を見せ付けたタングス天王の 功績は非常に大きいものとする。 2人とも城に帰り、次の作戦までの準備を怠るな。」 総統カリスマンの顔に戻った男は、2人の『部下』にそう告げた。 ・・・・・・・・・・・ その後では、6人の少女を乗せた巨大な鷹が、コミックＺ司令室へ向け 羽ばたいていた。 それは、タングスが一瞬で書き上げたものであることは間違いない。 ・・・・・・・・・・・・・・ ところで… 2人の男達は、例の逆三角形の建物の傍で、目を覚ました。 「ぜ、全身傷だらけでゴザルよ…。」 「で、でも生きてて良かったんだな。 死んだり、殺されたりするのはイヤなんだな。」 奇跡的に助かった、ゴッザールとナンダーナである。 「で、でも何か変なんだな。 体中の力が抜けてるような…。」 「コミックパワーを、やけに消耗しているでゴザルよ。」 「で、でもあれだけ吸い取られたら、仕方ないんだな。」 「そ、そうでゴザルよ…。」 どうやら2人とも、ゴッダーナの時の記憶、また カイザーゴッダーナの時の記憶もあるらしい。 だが、それは悲劇の約束だった。 「ぼ、僕達の力で、コミレンジャーを追い詰めれたんだな！」 「そうでゴザル！総統閣下も、タングス天王様も 早く帰って来いって思ってるでゴザルよ！」 傷の痛みも忘れ、意気揚々とシメキリオトス城へ向かう2人。 しかし。 ゴッダーナ、カイザーゴッダーナ時にほぼ全てのコミックパワーを使った彼等を カリスマンは必要としているのか…。 この後の彼等の運命は、また、後のお話で。 27話 〜完〜 -------------------------------------------------------------------------- -あとがき- 読んでくれた人、ありがとうございます。 ほぼ全ての人が、はじめましてですね。 Ｋ＆Ｈと申します。以後、お見知りおきを。 とりあえず書き終わっての感想は 『長い』 『まとめが下手くそ』 『悪ノリが過ぎる』 とまあそんな感じですが、結構楽しく書いてました。 お叱り、抗議、受け付けさせていただきます（死 というか、この原稿実は、ゴンジー会長に渡すべき日程を 2週間ほどズレ込んでます(^_^;; とっくに仕上がってる原稿を渡せないのはもどかしいですね。 みなさんも機械の故障には注意しましょう（謎笑 感想などいただけたら幸いですが、私はホームページを持ってないので 秘密基地の談話室か（ぉぃ） nemuadc@leo.interq.or.jp まで是非（爆 では、このやたら長いだけの作品に最後まで付き合っていただき 本当にありがとうございました。 では。