Zフロア・・・それは コミックパワーの開発発展の為に設けられた 最需要秘密エリアのことである。
 その所在地は Zビル地下数百メートル、施設の総面積は230.000平方メートル 
 さらに Zフロアは 大きく二つのエリアに分かれていた。
 一つは 「アリアケマシーン」やコミックパワー装置の開発を目的とした作られた研究エリア『東(イースト)ブース』と
 もう一つは コミックパワーの能力者の発展向上を目的として作られた 鍛錬エリア『西(ウェスト)ブース』である。

 そして千紗ちゃん達が 東館での 秘密の実験を行っている時 おなじくして、西館には 5人の戦士の姿があった。 



「番外編;千紗ちゃんのリボン 【ちょっと幕間劇 編】」



  ・・・ココは Zフロア西ブースにある 通称「トレーニングルーム」
 体育館を少し改造した感じであるコノ部屋には、各々の特殊能力の訓練のため
  様々な設備が 置かれていた。オタークの標的も その一つである。
  
 あと、余談であるが この西ブースには、他にも 筋力の増強を目的とした 通称「フィットネス ルーム」
 本格的な 戦闘訓練のために設けられた通称「闘技場」等 いろいろな部屋が存在している。


 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

瑞希「・・・・」

 その時 コミパレッドこと高瀬瑞樹は 緊張した面持ちで 一点を見つめていた。
 視線の先にあるものは オ・ターク戦闘員の等身大ポップ・・・もとい 射撃用の標的板。
 瑞樹は 手にした杖に力を込めていき、そして叫ぶ。

瑞希 「ミズキャーステッキ! ラケットモード!」

 瞬間 杖は 輝くラケットに変わり、その頭上に 光の球が現われた。
 瑞樹は大きくラケットを振り上げ 渾身の力で光球を撃ち放った


瑞希 「ハッ!!!」(バシッ!)

ドカーーン!!

そして 打ち放たれた球は 見事 標的の中心を貫き、標的は跡形もなく 吹き飛んだ。

瑞希 「・・・ふぅ・・・」
あさひ「お、お見事ですね レッドさん」
由宇 「なんや すでに完全に自分の技にしとるやないか」
瑞希 「え? そ、そうかな?」

 一呼吸して 落ち着いた瑞希に、側でトレーニングをしていた 二人が話し掛けてきた。
 二人とも 彼女の 新しい技の出来が気になっていたらしい。

あさひ「は、はい ほんとすごいかった。 、ひひょっとして 経験者ですか?その、テニスの」
瑞希 「うん、高校時代に クラブ活動で、ちょっとね。」
あさひ「や、やっぱり♪だ、だからすごいのですね レッドさんの・・・レ、レッドさんの・・・・・・・・・・・」

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

瑞希 「・・・どうしたの ピンク?」
あさひ「す、すみません あの、 この技の名前がわからなくて その な、なんて 名前でしか?」
瑞希 「えっ?そ、それは・・・」

・・・瑞希の表情がかすかに曇る・・・

瑞希 「・・・・・・・・・・」
あさひ「ほ、ほぇ?・・・・あ、あの・・・(汗汗)」
由宇 「・・・ひょっとして まだ きめとらんかったんか?みずきっちゃん」
瑞希 「・・・うん・・・・・・」

由宇に問われて 瑞希は 困った表情で 頷く。
そもそも 決める以前に 必殺技の名前が全く思いつかなかったかったからである。
今までの彼女の技は Z司令官:澤田真紀子氏から 伝授されたもので、すでに名も決まっていた。)
どういう名前にすればいいのやら・・・。

由宇 「そういうことなら せやったら ウチが 代わりにかんがえたろか?」
瑞希 「え?いいの?」

 彼女は 嬉しそうに 頷く。こういうことは 自分より由宇に任せた方がたよりになる・・・

由宇 「任せときって♪ そうやな〜・・・・・・・・・・・・うん! 『貫光通天角』てのは どやっ?

・・・・・・・・・・・・・・・・と 思ったのであるが・・・・

あさひ「・・・え、えっと」
瑞希 「・・・・・観光・通・天・閣?(−▽ー;)」
由宇 「そうや♪ 『貫光通天角』、 どや? ごっつ強そうなネーミングやろ♪」
瑞希 「う、う〜ん・・・・・・(−。−:)」
由宇 「なんや? この名前やと不服なんか?」
詠美 「プププ♪ あったり前じゃないのよ。 相変わらずダサダサなネームセンスなんだから 温泉パンダは」

そのとき 天の助けか 更なる混乱か。話に割り込んできたのは
コミパグリーンこと 大庭詠美だった。

由宇 「なんやとグリーンっ うちのネームに文句あるちゅうんかっ」
詠美 「文句大有りよっ。  いいこと? 必殺技の名前ていうのは、響きはもとより
    聞いただけで その技のイメージできるかが重要なの、
    『ツウテンカク』で どんな技のイメージができるっていうのよっ?」
由宇 「ぐっ・・・」

珍しく 由宇が言葉につまる

由宇 「い、いいこと 言うやないか あんたにしては」
詠美 「フフーーン♪ 私はコミパのクィーンよ 万年中堅のパンダとはセンスが違うのよセンスが♪」
由宇 「(ピキッ!)だったら アンタなら どんな名前にするんや?!」
詠美 「え?聞きたい?聞きたいの? しょうがないわね〜。それじゃあ
     この私が 特別に 必殺技名を 考えてあ・げ・るw」

そういうと 詠美は腕を組み しばらく しばらく額に指を当てたポーズで固まっていたと思うと、
唐突に 瑞樹にひとさし指をつきだし 答えた。

詠美 「(ビシッ!)決まったわっ アンタの技の名前!
    名付けて 必殺!『スーパー クリキントン アタック』よっ!」

・・・・・

瑞希  「く、栗きんとん・・・・・(=△=:::)」
あさひ「・・・え、えと お、おいしそうな名前ですね?(^^;」
詠美 「どう どう♪ この『はくしき』あふれる 私のセンス♪」
由宇 「いや、博識とかセンスとか以前にやな・・・どこに「技のイメージ」があるっちゅうねん!?」
詠美 「ああ、もう これだから 田舎パンダは べんきょうが 足りないわね〜」

由宇の問いかけに 自身マンマンに胸をはり 詠美は答える。

詠美 「『クリキントン』ていうのは テニスプレイヤーが世界一を競い合う
    有名なトーナメントのことよ。今のレッドの技ってテニスみたいだし、
    技のイメージにピッタリじゃないのよ♪」
由宇 「有名って・・・そんな トーナメントあるんか?レッド」
瑞希 「聞いたことないわよ?」
あさひ「あ、あの私も・・・」
詠美 「な、なによ? なんで みんな しらないのよ? 」
   「・・・・・・・・・・・・・・・それは・・・『ウィンブルドン』では・・・」
詠美  「へっ?」

何時の間にか 側で話を聞いていた 彩がツッコむ
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

瑞希 「ああ なるほど ウィンブルドンッ・・・(クスッ♪)」
由宇 「プハハハ♪ さすが詠美ちゃんさまは 博識やな〜♪(爆笑)」
詠美 「ふ、ふみゅ〜〜・・・(赤面)」
あさひ「・・・プッ♪」

先ほどのまでの 元気は何所へやら 一気に縮こまる詠美
その姿をみて あさひも 思わず吹きだした、が・・・

詠美 (ギロッ!)

詠美の視線に気付き あさひは 慌てて口を塞いだ。

あさひ「!?あ、あのゴメンナサイ,ゴメンナサイ!私 笑うつもりじゃ・・・」
詠美 「い、いいのよ 別に笑ってくれてもっ(ヒクヒクッ) そこまで笑うのなら、と〜ぜん いい名前を 考えているわよね?」
あさひ「え?いえ あのその・・・(汗汗)」
詠美 「ほら 早く いいなさいよ♪ ピンク♪」

一見 優しい言葉をかけているように見える詠美。だが、その目は全然笑っていない。

あさひ「え、えと それでは・・・えと、ウ、『ウインディ スマッシュ』・・・というのは・・・」
瑞希 「(ピクッ!?)・・・ ウインディ・・・」
由宇 「・・・スマッシュ・・・」

それまで 笑っていた二人の動きがとまる

あさひ「や、やっぱり変ですよね?こんな名前・・・」
由宇 「いや、ええんやないか その名前♪」
あさひ「え? 」
瑞希 「うん なんか 技のイメージにもピッタリだと思うし」
  (こくこく)
あさひ「ほ,本当ですか?」

詠美 「・・・ふ、ふんっ  少なくとも「ナントカ通天閣」よりは 千倍マシな名前よね」
由宇 「確かに 『クリキントンほにゃらか』よりも一万倍マシやな」
詠美 「なによ! アンタのより 私のほうが 一億万倍マシなんだから!」
由宇 「へん 『億万』なんて数字はないで〜 知らんかったんか?大庭か詠美」
詠美 「ふ、ふみゅーーー!!」

  「・・・決定・・・ですか?」
瑞希  「うん これで決定♪」 

子供のけんかをしている 由宇と詠美を尻目に 
新しく立った標的に向って、 瑞希はラケットを高々と上げて宣言した。

瑞希 「いくわよ〜・・・必殺! 『ウィンディ スマッシュ』!!」

・・・コミパレッド 新必殺技誕生の瞬間であった。


(中後編に続く)
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