・・・・・・・・・・・・・・・・・・
『来栖川印刷 総合本部ビルディング』・・・通称『Ｚ ビル』。
新都市計画の一端としてうまれた アリアケアイランドの高層ビル群の中でも、
ひときわでかく 目立つ建物。
その 海を見守るかの如く悠然とそびえたつ その姿は、
サラリーマンの集うオフィスビルというより、平和を守る堅固な要塞である。
・・・いや 実の所 そのとおりなのであるが・・・
タッタッタッ・・・
そして、 その巨大なビルに入る 小さな人影一つ・・・
千紗「にゃぁぁ〜〜っ！！遅くなってしまったです〜〜っ！！」
同人戦隊 コミレンジャー 第１２話
「番外編；千紗ちゃんのリボン 〜探検☆コミックＺ秘密基地〜」
そして 時間は10分程過ぎて・・・
彼女、塚本千紗は 目的地であるＺビル十数階にある
『コミックＺブリーフィングルーム』・・・
千紗「急ぐです、急ぐです〜〜（バタバタ）」
・・・ではなく、いまだエレベータの扉が開くのをで足踏みしながら待ってたりする。（＾＾；
ちなみに この状況、別にエレベーターが故障して出られなくなったわけでも
Ｚビルが 数百階にも及ぶ超高層建造物なわけでもありません。
エレベーターで降りる階を間違え数分、しかも
そのことに気付かず 部屋を探すこと 数分、
さらに 上るエレベーターと降りるエレベーターを間違えて乗り込んでしまい さらに数分、
これら合計ロスタイムを含めた為に こうなってしまったのである。
チーーン♪
「にゃ！今度は 間違いないですっ！！（バッ！」
エレベータが止まる音を聞いた彼女は、（今度は）止まった階数を確認、
扉の開くと同時にスタートダッシュで とびだし・・・
ゴツッ！！
千紗「にやっ！？」
？？？「グワッ！？」
なにか堅いものとぶつかった。
？？？「イタタ・・・どこ見て歩いとんじゃっ！！ おんどりぁあっぁぁーーーー！！！って なんや？」
詠美 「なんだ 何かと 思ったら 猫娘じゃないの」
あさひ「あわ、あわわわわ」
彩 「・・・・・・・・」
瑞希「千紗ちゃん 大丈夫？ もう少し気をつけて行動しないと あぶないわよ？」
オデコを押さえて 見上げた彼女の目の前には、見慣れた 5人の乙女達の姿が目に入った。
しきりにアゴを擦る由宇を見る限り どうやら衝突場所は ソコのようである。
千紗「にゃ〜 由宇姉さん ごめんなさいですっ（ペコペコ）。
由宇「ほんま 気ぃつけや アンタ。 もし怖いにーちゃんにでも ただでは済まんとこやで」
彩 （こくこくっ）
彩が 後ろで大きく うなずく。現に 彼女は『怖いねーちゃん』にぶつかっている。
千紗「にゃっ そういえば 皆さん おそろいと言うことは これから出撃なのですか？」
由宇「いんや 今日は鍛錬の日や」
地球の平和を守るため 日夜戦いを続けている 正義の戦士「コミレンジャー」
だが、実際はホントウに 毎日出撃命令が あるわけではない。
そんな時の彼女達は 執筆や仕事やバイトなど 各々の生活にもどっていたり・・・
由宇「敵も 中ボスクラスが現われてきたさかいな。【第11話参照】こっちもウカウカしてれんやろ？」
瑞希「わたしも、アノ時に使った技 完全なモノにしたいしね。」
あさひ「あ、あああたしもです！はい。」
こうして 戦闘訓練を行っているわけである。
詠美「ま、あたしは れんしゅうしなくても つよいんだけどね〜。リーダーがどうしてもって言うから。」
由宇「ドアホ、一番必要な奴が何言うとる。」
あさひ「あっ、あたしも、一番必要ですっ！はい。」
瑞希「桜井さん それは 自信を持っていわなくても・・・（汗）」
彩 「・・・・・・・あの・・・」
由宇 「ん？」
彩 「乗らない・・・ですか？」
何時の間に動いたのか 彼女はエレベーターの『開』ボタンを押したまま、みんなを待っていた。
千紗「にゃ！！ 千紗もこれから仕事しないと行けないのでした（・。・；」
由宇「そうやな ほな マタ後でな 千紗ちぃ」
瑞希「ゴメンネ 引き止めたりして。御仕事頑張ってね。」
千紗「はいです☆ 千紗 今日も御仕事がんばるです♪」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
小走りで走る千紗の姿を見送った4人は そのままエレベーターにのりこむ。
全員が乗り込むのを確認した彩は 『閉』ボタンから手を離し、
ゆっくりと目的地へのボタンを押しはじめた。
詠美「・・・そういえばさ、あたし ずっと前から不思議に思ってたことがあるんだけど・・・」
由宇「あんたが 高校進学できたことか？」
詠美「ちがうわよっ！・・・ほら、ワタシタチってば 敵が来ない時でも こうして訓練したりしてるじゃない？」
由宇「それが どないしたん？」
詠美「んじゃぁ あのチビ猫娘の いつもの仕事って・・・なに？」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
由宇「え〜 そりゃ、 なんちゅうか〜・・・なんやったかな？ みずきっちゃん」
瑞希「えっ？私！？・・・えっと、作戦の時は 彼女は連絡係なんだけど・・・桜井さん 知らない？」
あさひ「ええ？えええええとえとえと？あのあのあのののぉ、ぉ、ああ彩さん？」
彩 「通常勤務時は・・・南教授のデータ整理のサポート・・・。
具体的に・・・過去の戦闘データ・・・敵組織関連の目撃情報データ統計・・・及び傾向調査を・・・
あと・・・正規の仕事外ですが・・・来栖川印刷の収支決算や・・・フロア内の清掃作業・・・」
四人 「「「「・・・おおぉ〜・・・・・（パチパチ♪）」」」」
4人は 何故か拍手していた。
そして 場所が変わってここは「コミックZ ブリーフィングルーム」
少し 息も絶え絶えな 状態で 少女はその扉をくぐった。
千紗「（ハァハァ） こ・・・こんにちはです ・・・お姉さん・・・千紗・・・間に合ってますか？」
１０畳ほどの広さ、円形上のテーブルと 8人分の椅子が用意されたコノ部屋は
主に彼女達が 作戦内容を報告する、言ってしまえば『作戦室』である。
・・・もっとも コノ部屋が 普段は どのように使われているかは、
テーブル上に散らばった 描き掛けの原稿用紙を見れば 一目瞭然である。
お姉さんと呼ばれた 南教授は目線をファイル資料から時計に移し
そして 彼女に移したあと ニッコリほほえんだ。
南 「ふふ、大丈夫、ちゃんと 間に合ってますよ 千紗ちゃん（ニコッ）」
千紗「はぅ〜 よかったです〜・・・（ヘタッ）」
安心して千紗は そのまま その場で座こんだ、
・・・ちなみに時計の針は 後数秒で 10時だった。
南 「あらあら そんな所で 座りこんでいたら ダメですよ？（・ｖ・）」
千紗「！？はい 千紗 早速手伝いますですっ。 今日は どのデータですか？」
南 「いえいえ、実は 今日は特別に頼みたい事があるんです。」
千紗「にゃ？今日は 特別任務なのですか！？」
南 「はい 特別任務です♪これは 千紗ちゃんにしか 頼めない仕事なのです。」
千紗「にゃ〜♪♪ すごいです すごいです♪千紗 特別は はじめてです♪」
ぴょんぴょんと飛び跳ね、喜ぶ千紗ちゃん。
別に いつもの データ整理や 通信係の仕事ばかりで飽きていた、というわけではない。
ただ単純に ”特別”と言う言葉が 嬉しいのである。
南 「あらあら 喜んでくれて 私も嬉しいです。 では 早速 行きましょうか？」
千紗「はいです♪ ドコに行くですか？」
南 「そうですね・・・まずは エレベーターですね」
５ 、 ３ 、 ９ 、 ８ 、 10 、
エレベーターの中に入り 扉が閉まるのを確認すると、
南は 次々とエレベーターのボタンを次々と押していった。
南 「それでは いきま〜す・・・ポチっとな♪」
どこかで聞いたようなセリフと供に、最後に「開」のボタンを押す 南教授。
ガクンッ！・・・・シューーッ！！
すると エレベーターは ワイヤーが切れかの如く 猛スピードで下降しはじめた。
3階・・・1階・・・地下２階
Zビル最下階を超えたはずなのに エレベーターは止まる気配も見せない。
先ほどのボタン押しは 実は秘密フロアに行くためのパスワードだったのである。
千紗「にゃぁ〜 千紗 『Zフロア』まで行くのは お久しぶりです〜。」
南 「そうですね〜、 千紗ちゃんは ほとんど『基地フロア』でのお仕事ですものね。」
・・・・・・・・・・・・・・・・・
Zビルは 大きく分けて3つのエリアで構成されている。
まずは Zビルの 中階から下階までのエリアには
印刷業や広報会社の社員達が働く 仕事場が存在している
ここは コミックZの表の顔、通称『出版フロア』と呼ばれる
それに対して Zビルの上階部は コミックZの裏の顔・・・
つまり防衛組織としての コミックZ・・・つまりコミレンジャー達の活動拠点である
『基地フロア』が存在する。
ここには 先ほどのブリーフィングルームや通信施設、視聴覚室など
作戦上必要な施設が完備されている。
（ ちなみに 事情を知らぬ人たちには 上の階は『役員フロア』
つまり 来栖川グループ役員の為のエリアと 思われている。）
・・・だが Zビルの真の顔、それは 実は地下深くにあった。
そこには コミックパワーの開発､発展のためにつくられた 様々な設備、
アリアケマシーンの生産や 能力者の鍛錬を目的として つくられた施設が存在する。
極一部の限られた人物にしか、その存在を知らされていない
Zビルの最重要機密エリア・・・・・・それこそが この 『Zフロア』なのである。
逆に言えば、彼女、塚本千紗も その最重要機密を握る
選ばれた人物であると言えるのだが・・・
千紗「にゃ〜特別任務 楽しみです〜ワクワクです〜♪ 千紗はこれからナニをするのですか？」
・・・とても そうは見えないです。（＾＾；）
南 「それは ついてからのお楽しみということで♪ あらあら、もうすぐですよ。」
チーーーン♪
南教授のことば通り、エレベーターが到着の合図をならす。
そして 秘密への扉は ゆっくり両側に開き始めた・・・。
・・・・・・・・・・・・・
【中編に続きます】
HOME