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〜コミックZ司令室 別名『編集長室』〜
アリアケビル最上階に位置し
多くのセキュリティで守られている この部屋は
文字通り 澤田真紀子司令官のためにつくられた部屋である。

もっとも 隊員たちへの指令や 出版関係の部下の報告は 
通常 ブリーフィングルームや会議室で行う為
澤田真紀子本人以外 コミレンジャーの面々すら 近づく事はない。

コンコン、

そんなの部屋前で 軽く扉を叩く女性が。
それは 数少なき訪問客の一人、牧村南教授の姿であった。



同人戦隊コミレンジャー第9話 =エピローグ=



ガチャ、
「失礼します」

部屋主の了解も聞かぬまま、南は ゆっくり扉を開けた。
部屋の広さは その肩書きに比べては 意外に小さく
また、周りの壁を、格調高い本棚で埋められたレイアウトは、
司令室というより大学教授の部屋の趣をみせている。

「・・・南なの?」

澤田司令は まぶた塗れたタオルに乗せたまま 来客に言葉をかける。
ソファに仰向けに横たわっているその姿は、
仕事場での彼女の姿を見慣れている者にとって、おそらく
意外な姿に見てとれるのであろう。

「はい♪ 先程 瑞希ちゃん達から連絡がありました。任務は無事終了したそうですよ。」

微笑みを浮かべたまま 南は答える。
彼女にとっては 今の司令の姿も特に珍しい姿ではない。

「・・・彼女達は?」
「時間も時間ですので 先に解散させました。みんな 先輩のことを心配していましたよ。」
「そう・・・」

澤田女史は タオルを外し、時計に目を向ける、
会議後横たわってから、すでに大分長い時間が経っていた事に、軽い驚きを感じる。

「あ、先輩 何か飲みますか?」

報告書を机の上に置いた南は 澤田女史に尋ねた。 既に その足は 給湯室の方向に向かっている。

「・・・そうね、なにか冷たいものを頂戴・・・」



トクトクトク・・・・

「・・・み、南?その飲み物・・・」
「ええ、先日実家から送られたものなのです。ちゃんと冷えてますから安心してください♪」
「いえ そうでなくて。私の目が確かなら それは清酒『鬼殺し』・・・」
「あ、先輩には 私が注ぎますね」

トクトクトク・・・

互いの杯いっぱいに 注がれた液体に、呆れた表情を向ける澤田司令、
ほかにテーブルの上にあるものといえば おつまみ代わりのチョコやクッキーと・・・

コクッ・・・コクッ・・・(コトンッ)

すでに 空になってしまったている 南さん のコップ・・・(^^;)

「・・・」
「さ、先輩も 一杯どうぞ」(ニコッ)
「・・・(溜息)・・・南ぃ? 私達には マダやるべき仕事が・・・」
「ささ、どうぞ☆」(ニコッ☆)
「・・・」
「ど・う・ぞ♪」(ニコッ♪)
「・・・・・・・(−。−;)」

この状態になった 南には 流石に彼女も かなわない。
澤田女史は ゆっくりと コップに口に付けることにした。

ゴクッ・・・(トンッ)

「・・・ふぅ〜」
「さすが先輩 いい飲みっぷりですね〜♪」

そう言う南は 既にお酒を注ぐ体制で 待ち構えている。

「・・・もう一杯だけよ」
 
・・・澤田女史は あきらめた表情で 杯を南に差し出した・・・。



「まったく・・・編集ってね、漫画家から原稿を毟り取るだけの職業じゃないのよ。雑誌の企画とか、
 まぁそこらへんは言うまでもないけど、新人発掘もあるし担当の漫画家のカウンセラーもどきもやらなくちゃいけないし。」
「あらあら〜」

南は残っているお酒を飲みながら、真紀子の話に相槌を打つ。机の上に置いてあった 一升瓶は すでに空。
二人の顔も 少し赤みを帯びていた。

「おまけに、いきなり新創刊の話でしょ? まったく 胃が幾つあっても足りないわ」
大変ですね〜先輩も」

胃が幾つあっても足りないとはどういう喩なのか判らなかったが、取り敢えず真紀子の苦労だけは推し量ることが出来る。

「そうなのよ!。 例のアニメ化の企画の時なんて――っと、ゴメンナサイ 南 また愚痴になっちゃって・・・」

真紀子ははたと口を押さえる。愚痴というのは、端から聞いていて気持ちの好いものではない。

「いえ大丈夫です、先輩、今月は本当に大変でしたのもの・・・」

・・・確かに、今回の司令の仕事は いつもの倍以上の忙しさであった。
表向きの仕事である 出版業務に関しては 数々のトラブルが自分に降りかかり疲労は限界まで達していた。

おまけに コミレンジャーの仕事では・・・

「・・・司令官失格ね 私」
「えっ?」
「彼女達にまで心配されてしまうなんて・・・」

そんな澤田司令は 自嘲の微笑を浮かべていた。
仕事の場では常に毅然とした態度を見せていた彼女にとって、
今回の自分は、恥ずべき姿だったのある。

「・・・そ、そんなことないです 先輩! 誰だって自分の作品が贋作されていると知ったら・・・」

そう今回の事件は彼女達にとって、それほど衝撃的な事件だったのである。なぜなら・・・

「ありがとう 南 慰めてくれて・・・」

そう言うと 司令はゆっくり席を立ち、数ある本棚の一つからファイルらしきものを一つ抜き取り、

「ほんと、すっかり忘れていたのにね・・・」


それを 複雑な表情で眺めはじめた。

もしも 由宇、彩、詠美が この場に居合わせファイルの中身を見たとしたらら、
おそらく 飛び上がるほど驚くはずである。

「後悔・・・されているのですか?・・・夢を捨ててしまったことに・・・」

南は少し悲しげな表情でたずねる。だが その問いに対し 澤田女史は軽く首を振った。

「もちろん 全く後悔がないわけでもないけれど・・・あの時の私達の夢は 結局 夢のままだったけど
 それで終わったわけでない、 私たちは 別の夢を適えているもの。」

澤田女史は、今言った言葉が真実であることを示すかの如く静かに微笑む。

「・・・ですね♪ アノ頃の私たちにはちょっと悪い気がしますが、夢はまだ続いてますもの」

やがて、南の表情も ゆっくりとほころんでいった。それは 何かが吹っ切れたような 表情であった。


「さてと・・・先輩♪、実はもう一本しまってあるのですよ。 コレを酒の肴にして もう少し飲みませんか?」
「フフフ、OK 今晩は とことん飲みましょう♪」
「はい 先輩」

澤田真紀子は もう一度ファイルの中身を確認して こう小さく呟いた。

「・・・幻の作家『ホホメス』にカンパイ・・・なんてね♪」



コミックZ司令官:澤田真紀子
同じく 教授:牧村南

この二人が かつて共に同人活動を行っていた事。そして、とある理由により
活動を断念してしまったというのは、コミパ関係者には結構有名な話である。

・・・だが、二人の作品が 現在『幻の同人誌』と呼ばれていることまで、知っている者は少ない・・・


〜 第9話 完 〜


=あとがき=

こんばんは ゴンジーと申します。というわけで いかがでしたでしょうか?
今回のお話は YUJIさんから原作を頂いて書いたものです。(YUJIさんありがとうございました)
・・・とは言っても 実際に使用したのは冒頭部分ぐらいで、
ほとんどオリジナルな内容になってましたですが。(^O^;)

特に 今回のオチ ホホメス=澤田女史+南さんは も 
ゲームの話で お二人が都合により 同人活動を断念し、そのため同人活動応援する仕事についたという
エピソードから 思いつきました。エピローグでは その辺りのことを もっと書いてみたかったのですが
・・・やはり 描写不足ですね(==;)

では 駄文で恐縮ですが もし楽しんで いただけましたら恐縮ですm(_ _)m
それでは

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